スペシャライズドからプレミアムな新フィッティグサービスが登場
目次
スペシャライズドが展開するバイクフィッティングサービスの「リトゥールフィット(Retül Fit)」に、新たにiPad Proと専用アプリを用いたより精度の高い「リトゥール プレミアムフィット(Retül Premium Fit)」が加わった。編集長の中島がさっそくそのサービスを受けてみた。
動画で見たい人はこちら
「リトゥール プレミアムフィット」の特徴
2005年から開始した「ボディジオメトリフィット」はフィッティングサービスの草分け的存在だが、それをスタートラインとしてスペシャライズドが長年展開してきたのが「リトゥールフィット」だ。
①ライド目的、けがや故障の履歴がないかなどといったライダーへの「インタビュー」、②身体的特徴とともに体の可動域といったことを診断する「フィジカルアセスメント」、そして③3Dモーションキャプチャーを用いた動作解析により判明した数値の、3つの情報を総合的にフィッターが判断して「フィッティング」。こうしてライダーのポジションを導き出すことにリトゥールフィットの特徴がある。
今回新たに登場したリトゥール プレミアムフィットは、さらにライダーへ“パーソナライズド”されたフィッティングサービスになっている。つまり、ライダー一人ひとりに合わせて、さらに精度の高いフィッティングが可能になったのだ。
具体的に大きく変わった点としては、従来のリトゥールではPCを用いて行っていたところを、iPad Proと専用アプリを用いて行うようになったことだ。3Dモーションキャプチャーは従来どおり使用するが、さらにこのiPad Proのカメラを利用した「ライダースキャナー」を使う。これによって、ライダーの動作から体の可動域などの情報をより詳細に取ることができるようになり、ライダー個人個人により適した体のさまざまな部位の角度の「パーソナライズドレンジ(推奨範囲)」をフィッターは提示できるようになった。
また、iPad Proとアプリを使うようになったことでより多くのライダーの情報を収集しやすくなり、かつそれを活用しつつ短いスパンでシステムの更新ができるようになっているので、多くのライダーがサービスを受ければ受けるほどサービスの精度もどんどんと向上していく。この点にもリトゥール プレミアムフィットの特徴と強みがある。
所要時間/価格/サービスを受けられる店舗
リトゥール プレミアムフィットの所要時間は約2時間半程度だ。
フィッティングはさまざまな種類のバイクで受けることができ、まだバイクを購入していない初心者でも、ポジションを変更できる仮想バイクを使ってマイバイクなしでのフィッティングも可能となっている。
価格は4万4000円。プラスアルファで部品を購入したり、インソールを作ったりするとその分の費用は加算となる。
現状で本サービスを受けられる店舗はスペシャライズド 新宿、同銀座、同金沢、そして同幕張の4店舗で、今後拡大してく予定だ。
編集長中島が実際にサービスを受けてみた!
早速、できたてほやほやのこの新サービスを、サイクルスポーツ編集長の中島が受けてみた。訪れたのはスペシャライズドのブランドストア「スペシャライズド 幕張」で、ストアマネージャーであり、リトゥールフィットの国内のフィッターの中でも特に経験豊富で技術の高い、松田航介さんにフィッティングをしてもらった。
フィッティングの流れは従来のリトゥールフィットのとおりで、①インタビュー、②フィジカルアセスメント、③フィッティングの3段階だ。
今回はエンデュランスロードを持ち込み、ライドの目的はロングライドなどのレースではないサイクリングアクティビティということでフィッティングをしてもらった。
中島は過去にリトゥールフィットを受けたことがあるが、公式情報のとおり、まず従来のサービスと異なっていたのはフィジカルアセスメントでiPad Proのカメラを使ったライダースキャナーによる「トラックド・アセスメント」という診断法を行ったことだ。
小さな加速度センサーを腰のあたりに装着し、iPad Proのカメラで撮影してスクワットなどのアセスメント動作を行うことで、より動的な動作解析が行われていた。
次に異なっていたのは実際にバイクにまたがってペダリングし、3Dモーションキャプチャーで動作解析するとき、フィッターの松田さんがiPad Proを手にしてリアルタイムでどんな数字が出ているのか見せてくれつつ、実際の自分自身の感覚はどうなのかを確認してくれていたことだ。
中島の場合は左脚の股関節にややつまるような感覚があり、それを松田さんに伝えていたのだが、実際に数値としてそれがリアルタイムに現れていた。それ以外には動きに問題はなかったので、サドルのみを2mm上げてこの左脚の股関節のつまりを解消してあげる方向になった。
なお、ペダリング時のアライメントとして、膝がやや内側に入りやすいということも判明し、インソールを作成してその微調整も加えてみることに。
サドル高の調整とインソールの作成のあと、再度ペダリングして動作解析してみると、数値が改善しており、実際に自分の感覚としても動きが良くなっていることが実感できた。
「最終的に、サドルは3mm上げインソールで脚のアライメントを調整しただけで終わり、全体的に中島さんはポジションを非常に良く煮詰められていることが分かりました」と松田さん。
記事的にはあまりおいしくはないが、結果的に今回は自身のポジションが方向性として間違っていなかったことの裏付けが得られた。これは非常に有意義なことだ。また、フィッターがリアルタイムで現れる数字を見せて解説をしてくれ、それに対して自分の感覚が実際にどうなのか、ポジションを変更したあとでどう数値が変わり、そしてその自分の感覚がどうなったかを細かく突き合わせてフィッティングを進めていけた点が非常に印象的だった。これはリトゥール プレミアムフィットならではのポイントだと言える。
“プレミアムなフィット”というだけあり、現状でサービスが受けられるのは4つのスペシャライズドストアのみ(うち3店舗が東京圏に集中している)なのが残念だが、そこは今後の利用可能店舗の拡大に期待したい。