ガーミン・エッジ1040シリーズ新登場! 最速インプレッション
目次
ガーミン(GARMIN)から新型のサイクルコンピューター、エッジ1040(Edge1040)シリーズが登場。詳細を紹介するとともに、ソーラー充電(太陽光充電)が可能な最注目モデル「エッジ1040ソーラー」の髙岡亮寛さんによる国内最速インプレッションをお届けしよう。
ガーミン・エッジ1040シリーズの特徴
ガーミンから新しく登場したサイクルコンピューターは、「エッジ1040」と「エッジ1040ソーラー」の2モデルだ。エッジ1040ソーラーは特殊なソーラーパネルが搭載されており何とソーラー充電が可能で、バッテリーの持ちがさらに向上している。その他に、GNSSマルチバンド機能で測位がより正確になったこと、操作性の向上、トレーニング機能が充実したことが大きな特徴だ(これらは両モデル共通)。
太陽光充電が可能(エッジ1040ソーラー)でバッテリーがより長持ちに
エッジ1040ではソーラー充電が可能で、ディスプレイにパワーガラスという特殊な素材が用いられている。画面全体で太陽光による充電を行うという驚きの機能だ。これによりライド可能時間が従来のモデルに比較し大きく増加する。バッテリーセーブモードで使用すると最大で70時間、太陽光充電をするとそこからプラス最大30時間の使用が可能だ。
画面をスリープしているときだけでなく、電源をオフにした状態でも、太陽光がディスプレイに当たっていれば充電が行われる。なお、筆者が朝の時間帯で雨が降り出しそうなほどのくもり空の下(感覚としては太陽の光がかなり少なく感じる)で太陽光充電の状態を確認してみたところ、それでも「48%強度」と表示が出ていた。晴れの日だけでなく、曇天でも決して低くない充電強度が出るようだ。
GNSSマルチバンド機能搭載でより測位精度が向上
複数の衛星から地上に向けて送信される電波を受信することで、位置や速度の算出がより正確に行えるGNSS(Global Navigation Satellite System)マルチバンド機能が搭載され、ナビ機能やログの取得がさらに正確になった。例えば都市部で高層ビルが並ぶ道を走っているときや木々が生い茂る峠道で、位置情報のロストをしてしまう可能性をさらに少なくすることができる。
スマホのような感覚でより操作しやすくなった
メイン画面がスマホのようにスクロールするようになり、見たい画面へより速く・ストレスなくアクセスできるようになった。ここで表示させる情報は自分の好みにカスタムも可能だ。
トレーニング機能が充実 “自分の残り体力を可視化する機能”も
新しいトレーニング機能がいくつか追加された。注目は「リアルタイムスタミナ」「パワーガイダンス」「サイクリング能力分析」の3つだ。
リアルタイムスタミナ
その名のとおり、自分の残り体力が可視化され、リアルタイムで見られる機能だ。自分が今からライドする距離に対して、今のままのペースで最後まで持つのか、今どのくらいの出力で走ったらいいのかなどをガイドしてくれる。例えば、「このペースだとあと40km持ちません」「この区間では●Wまで抑えて走ってください」といった指標をリアルタイムで見ることができる。
なお、この機能を使うには、VO2 MAX、トレーニング履歴、乳酸閾値、回復状態のデータ蓄積がある程度必要となる。
※互換性のあるセンサーとペアリングした場合。
パワーガイド
ライドするコースにパワーターゲットを正確に割り当てられる機能だ。例えば、あるコースを平均200Wで走る、という目標を設定したとすると、コースに応じて「この区間ではこのパワーを目指してください」といったように、狙った出力を達成するためのガイドをしてくれる。
なお、この機能を使うにはコース距離、標高、地形、位置情報に加え、パワーカーブ、FTPのデータも必要となる。
※互換性のあるセンサーとペアリングした場合。
サイクリング能力
過去のライド記録におけるさまざまなデータを分析し、自分のいわば“脚質”を診断してくれる機能。例えば「あなたはスプリンタータイプです」「あなたはエンデュランススペシャリストです」といったことが分かる。さらに、自分の能力の長所を伸ばすためにはどんなトレーニングをしたらいいのか、逆に弱点がどこにありそれを克服するにはどうトレーニングしたらいいのかも提示してくれる。
※互換性のあるセンサーとペアリングした場合
エッジ1040ソーラーをRXグループ代表・髙岡亮寛さんがインプレッション
日本国内では誰よりも早くエッジ1040ソーラーを使用しているRXグループ代表・髙岡亮寛さん。そのファーストインプレッションを聞いた。
「ガーミンのサイクルコンピューターの使用歴は約15年です。GPS機能付きのサイクルコンピューターの中では一番信頼できると考えていて、ずっと使っています。直近ではエッジ830とエッジ1030プラスを使っていて、ヒルクライムではエッジ130プラスを使うこともありました」と髙岡さん。
「まず、デバイス自体の操作感や情報の見やすさについてですが、スマホに近い感覚でストレスなく動いてくれるようになった、と感じます。
これはすごい、と驚かされたのはソーラー充電によるバッテリーの持ちです。1030プラスでも持ちは十分良かったですが、それからさらに伸びていることが実感できました。日中に130km、時間にして4時間40分走行したとき、バッテリーは7%分しか減りませんでした。また、別の日に走行10.5時間(経過時間11時間)のライドをしたときは、バッテリー減少は20%分でした。ソーラー充電の効果は明らかです。もちろん夜間に走れば減っていきますが、翌日に日が出てくればまた減りが少なくなるので、100%の状態からバッテリーを使い切るまで一体何km走れるんだろう、と思ってしまうほどです。
いつか1000kmのライドに挑戦してみたいと思っていますが、そのときにもこのサイクルコンピューターを試してみたいですね。こうしたウルトラロングライドにはこれ一択、と言っていいでしょう」。
「新しいトレーニング機能が追加されていますが、データの蓄積がある程度必要になるので、まだ完全には試せていません。その中で言えることとしては、リアルタイムスタミナの機能はブルベなどの長距離ライドを走るときのパワーマネージメントに役立つだろう、ということです。
例えば2日間かけて1000km走るようなとき、長丁場なので“頑張らない”ということがすごく大切になります。私自身それは分かっていてもついつい上り坂で踏んでしまったりすることがあります。ましてや、一般のサイクリストで特に経験の浅い人はペース管理をするのが苦手なことが多い。こうした技術は経験によって身につくものだと思いますが、この機能を使えば、ベテランサイクリストでなくてもその経験値を手に入れられます。
現在はパワーや心拍数を誰でも手軽に計測できる時代になりました。そして、そうしたデータをコンディショニングのために分析することが最近注目されてきています。ガーミンもそれをしっかり研究して、こうした機能を出してきているのかなと思います。今後、自分も生かしていきたいですね」。
ガーミン・エッジ1040シリーズのスペック
エッジ1040ソーラー
●価格:10万9800円(税込)
●サイズ:59.3mm×117.6mm×20.0mm
●重量:132g
●画面サイズ:3.5インチ
●バッテリー寿命:マルチGNSS+マルチバンドモードの場合/最大35時間+ソーラー充電でさらに10時間、バッテリーセーブモードの場合/最大70時間+ソーラー充電でさらに30時間
※ソーラー充電は屋外にて7万5000ルクスの条件下で使用した場合
●対応GPS:GPS、GLONASS、Galileo、みちびき(補完信号)
●内蔵メモリ:64MB
●対応通信規格:ANT+、Bluetooth LE、Wi-Fi
●防水機能:IPX7
●付属品:ハンドルバー用マウント、ステム用マウント、MTB用マウント、USBタイプCケーブル、シリコンケース
エッジ1040ソーラーは本体プラスマウント類のみの単品販売だ。ただし、他の製品では付属してこないシリコンケースとMTB用マウントが初期で付属してくるのが特徴だ。
エッジ1040
●価格:9万9800円(税込)
●サイズ:59.3mm×117.6mm×20.0mm
●重量:126g
●画面サイズ:3.5インチ
●バッテリー寿命:マルチGNSS+マルチバンドモードの場合/最大35時間、バッテリーセーブモードの場合/最大70時間
●対応通信規格:ANT+、Bluetooth LE、Wi-Fi
●対応GPS:GPS、GLONASS、Galileo、みちびき(補完信号)
●内蔵メモリ:32MB
●防水機能:IPX7
●付属品:ハンドルバー用マウント、ステム用マウント、USBタイプCケーブル、スピードセンサー、ケイデンスセンサー、心拍センサー
エッジ1040はセンサー類一式とのセット販売となっているのが特徴だ。エッジ1040ソーラーと違ってシリコンケースとMTB用マウントは付属してこない。
Brand Info〜ガーミンについて
アメリカの自動車関連・スポーツ関連機器メーカー。GPSナビゲーション製品からスタートし、現在は航空・海洋・自動車・アウトドア・フィットネス関連製品までカバーする。サイクリングの分野ではサイクルコンピューターが特に有名で、定番のエッジシリーズの愛用者は多い。「NEVER STOP CYCLING」をキーワードに、サイクルコンピューター、前後ライト、リヤカメラ、インドアトレーナーが全てシームレスにつながる“エコシステム”を構築している。