カンパニョーロ・ゾンダDBをインプレ–アサノ試乗します!番外編

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カンパニョーロ・ゾンダDB (9万9000円)

カンパニョーロ・ゾンダDB (9万9000円)

さまざまなバイクを乗り比べ、その特徴や性能、パッケージングから、どのようなサイクリストに向くかまでチェックしていく本連載。今回は番外編としてカンパニョーロのディスクブレーキ用ホイール「ゾンダDB」「シャマルカーボン」「ボーラWTO33DB」を乗り比べる。その第1弾として、アルミリムホイールの定番モデル・ゾンダDB(ディスクブレーキ)をチェックする。

 

ゾンダDB・ディスクブレーキに対応したアルミリムの定番モデル

カンパニョーロ・ゾンダDB (9万9000円)

カンパニョーロ・ゾンダDB (9万9000円)

ゾンダDBはカンパニョーロのディスクブレーキ用ホイールの中で、アルミリムのクリンチャーモデル。リムブレーキモデルでも定評のあるモデルのディスクブレーキバージョンだが、フロントのスポーク組みがラジアルのリムブレーキ仕様と違い、前輪もG3パターンのスポーク組みを採用しているのが特徴だ。

スポーク本数は前後とも21本で、一般的なディスクブレーキ対応ホイールと比べてスポーク本数が少なく、重量面や空力面で有利だ。重量は前後ペアで1675gで、リムブレーキモデルに対して135gほど重くなるが、アルミリムのディスクブレーキ対応ホイールとしては軽量だ。

 

ゾンダDBの細部をチェック!

リムハイト・スポーク組み

リムハイト・スポーク組み

リムハイトは前後共通で、ニップル取り付け部が28mm、それ以外の切削されて低くなっているところが26mm。スポーク組みは、前後輪ともにG3 パターンの21本だ。前輪は左側のブレーキ側から14本、ドライブ側から7本、後輪は左側のブレーキ側から7本、ドライブ側から14本という組み方になっている。これはフロントのブレーキ側、リヤのドライブ側を強化する意図がある。

ハブ・フリーボディ側

ハブ・フリーボディ側

ハブボディはアルミ製。フリーボディにはスプロケットのセレーションのかみ込みを防ぐためプラズマ電解酸化処理が施されている。これは上位モデルと同じだ。ハブフランジもアルミ製で、後輪はドライブ側、前輪はブレーキ側により大径のフランジを採用している。ゾンダのリヤホイールはドライブ側も反対側のブレーキサイドも全てのスポークがストレートプルタイプ。フロントホイールも同様に全てがストレートプルタイプのスポークだ。

ハブ・ブレーキローター側

ハブ・ブレーキローター側

ディスクブレーキローターの取り付け方式は、ロックリングで固定するAFS仕様と6ボルトに対応するタイプと2種類ラインナップされている。今回試乗したモデルはロックリング対応のAFS仕様。ロックリングは外周に溝がある外セレーションタイプで、BB用のツールを使って着脱する。

後輪のブレーキローター側のハブフランジは、ドライブ側と比べて小さく、スポーク数も半分になっている。スポークはこちら側もストレートプルタイプを採用している。

ベアリングは理想的な玉当たりを出しやすく整備も容易なカップアンドコーン式。マイクロ・セッティング・テクノロジーを採用した調整ロックにより、遊びの発生もしっかり抑える。

スポーク形状&ニップル

スポーク形状&ニップル

スポークはニップル側とハブフランジ側の両端が直径2.0mm、中央部が直径1.6mmのダブルバテッドの丸スポーク。ニップルはアルミ製のブラック・アノダイズド・セルフ・ロック・ニップルを採用。緩みにくく、リム外周に露出しているため、メンテナンス性も高い。

リムの内幅は実際にノギスで測定

リムの内幅は実際にノギスで測定

リムブレーキ時代からあるC17リムを採用し、内幅は約17mm。メーカーが指定する対応タイヤ幅は、700×25Cから700×50Cまでと幅広く、ロードレースで使うような細めのタイヤから太めのグラベルタイヤまで使える。リムのタイヤ面にスポーク穴を設けないMoMagテクノロジーを採用し、リムの強度を高めている。ただしタイヤはクリンチャーのみ対応でチューブレスやチューブレスレディには対応しない。

リムの形状とニップルの台座

リムの形状とニップルの台座

アルミ製のリムは、ニップル台座がある部分以外は切削加工して2mm低くなっている。これはホイールの外周部であるリムの軽量化を狙ったものだ。リムの断面形状は左右非対称になっており、ドライブ側と反ドライブ側のバランスをとることを意図している。

 

ZONDA DB

価格:9万9000円
素材:アルミニウム(リム)、ステンレス(スポーク)、アルミニウム(ニップル)、アルミニウム(ハブ)
スポーク本数:21本
リム高さ:26〜28mm
カタログ重量:1675g(前後)

 

ゾンダDBをインプレッション-スポーク本数の少なさがもたらすメリット

ディスクブレーキ用のアルミリムホイールということで、正直なところ期待値は低かった。ディスクブレーキ用のアルミホイールは、スペック的にもリムブレーキ用モデルより総じて重量が重いからだ。また、リムハイトも低く、空力性能にも不安があるため、高速巡航時の伸びにもあまり期待ができないと勝手に思い込んでいたのもある。

だが、ペダルの最初のひと踏み目からいい意味で期待を裏切るシャープな走りを見せてくれた。硬質で、エッジが効いている。これはリムブレーキ時代の良質なアルミホイールを思わせる乗り味だ!と、乗っていて合点がいった。

確かに上りではやや重さを感じる。ただ、カタログ重量ほどの重さは感じず、走りは思いのほか軽快だ。ハンドリング時の応答もシャープで、レーンチェンジもシュパッと決まり、走っていて気持ちいい。リムハイトが低いため、横風の影響は受けにくく、扱いやすい。一方、高速巡航はそれほど得意ではないものの、。

G3スポークパターン×7セットで21本のスポークというのは、リムブレーキモデルの後輪と同じ組み方。これを前後輪に採用している。標準的なディスクブレーキ用ホイールは24本組みが多いので、それと比べるとスポーク本数が少ない。これは重量でも空力面でも有利に働いているはずだ。このモデルの良さは、このG3パターン×7=21というスポーク本数に由来するのではないかと推測する。

 

ワイドリム全盛の今、17Cリムはすでにナローリムの部類

今回試乗で使ったのがピレリのPゼロレース700×26Cだったのだが、このホイールの17Cリム(内幅17mm)に対してタイヤが若干太い印象だった。その根拠は、個人的に適正空気圧で乗ったときに、コーナーでタイヤがよじれる感じが強めに感じられたことだ。

カンパニョーロ国内代理店・カワシマサイクルサプライのWEBによると、ゾンダと組み合わせるタイヤの指定サイズは、タイヤ幅25mmから50mmとなっているが、新エトルトの25mm幅のタイヤは19Cリムに装着したときに実測幅25mmになるように設計されているので、ゾンダDBのリム内幅が狭い17Cリムだと装着時の実測幅が25mmより少し細くなってしまうはずだ。新エトルト規格対応のタイヤを付けるなら、23mm幅がベターなのではないかと思われた(メーカーの指定サイズではないが、エトルト規格上の組み合わせとしては問題ない)。

「リム幅が広くなり、25mm幅のタイヤさえ細めで、28mm幅がもはやスタンダード」と言われる昨今のホイール・タイヤ事情を考えると、かつてワイドリムとされた17Cリムでももはや細いリムの部類に入ってしまうのか——と思わずにはいられない。

ただ、リムが細い=悪いことなのかというと、必ずしもそうではないと思う。第一印象で感じたリムホイール時代の上質なアルミホイールらしいソリッドでシャープな乗り味が好きなサイクリストなら、これはこれでありだと思うのだ。ゾンダに関しては、このリムの細さ、ハイトだからこそ、アルミリムのディスクブレーキホイールでも重量ほどの走りの重さを感じさせない、絶妙なバランスを保っていると思う。

 

通勤ライドからロングライドまで守備範囲は広い。グラベルも行ける。

ゾンダDBはどのようなサイクリストにおすすめか? 個人的にはエントリーグレードのディスクブレーキロードの完成車に乗っているサイクリストの初めてのホイールアップグレードにいいのではないかと思う。

ゾンダは前後ペアで10万円を切る価格を実現しており、比較的手に入れやすい価格であること、低めのアルミリムで扱いやすくもあることが理由だ。メーカーの言う装着可能なタイヤサイズを考えると、細めのロードタイヤを装着すればロードバイクらしい走りを堪能でき、28〜30mm幅ぐらいの太めのタイヤを装着すればロングライド、さらに30mm幅を超えるような太いタイヤならグラベルライドも楽しめる。その用途の広さも魅力と言えるだろう。