トレック新型マドン 60秒速く、300g軽く
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トレックを象徴するモデル「マドン」が、4年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。マドンの名前が登場してから通算6度目、第7世代のマドンとなる。しかも今回はかなり劇的な変化を遂げている。トレックのレーシングバイクのポジションを担っているマドンは、空力性能を高めつつ、重量面でより軽くしてほしいというトレック・セガフレードチームからの要望に応えるべく、開発が行われた。素材は同社の軽量モデル「エモンダ」で初採用されたOCLV800カーボンだ。
そのルックスからしてすでに衝撃的だ。昨今のロードバイクはシルエットが似通ってきているなどと揶揄されるが、新型マドンはシルエットで誰もが判別できる。その造型は、もちろんデザインだけを追い求めたものではなく、ちゃんと機能を与えられている。
空力性能と快適性の両立Iso Flow
それが「Iso Flow(アイソフロー)テクノロジー」だ。横から見ると、シートチューブに大きな切り欠きがあるようにみえる。その正体はバイクの後ろ側に回り込むとわかる。シートマストとトップチューブの交点の下には大きな空洞が。ここに前方から流れてくる空気を流すことで、シートチューブ周辺の乱流を抑えている。さらにこの切り欠き部分がしなることで、振動吸収性を確保している。前作まで採用されていたIso Speed(アイソスピード)は、シートマストから支点を介した板バネのような構造により快適性をもとめていたが、複雑な機構を廃した(造型は複雑だが)ことにより、フレームを軽量化している。
例えば45kmの距離を第6世代マドンで1時間かかる(平均時速45km)出力で走るとする。それと同じ出力で第7世代マドンに乗ると、第6世代よりも60秒早く(平均時速45.76km)走ることができる。それだけ空気抵抗が削減されているということだ。
トレックの新型マドン、実機がユーロバイクで展示されていました。
360°ぐるりと動画で見てみましょう。
改めて思うのは、ハンドル幅の狭さ。ブラケット部はかなり狭く見えます。 pic.twitter.com/KFB0x93LCs
— サイクルスポーツ【公式】@9月号は7/20発売 (@cyspo) July 13, 2022
ハンドルも新設計のステム一体型
走行中に受ける空気抵抗は、ライダーが大きな割合を占めている。そこでロードレースのルールに合わせて、空気抵抗の少ないポジションを取れるように、様々な形のハンドルが開発されてきた。その最新のアプローチが、このマドンに組み合わせられるハンドルだ。ハンドル幅の基準となるのはドロップ部の幅、ブラケット部分の幅はそれよりも3cm狭く設計されている。このハンドルでC-C40cmのモデルを選んだ場合、ドロップ部がC-C40cmで、ブラケット部の幅は37cmということになる。これにより、ライダーのポジションの前面投影面積が小さくなる事が期待できる。平地を巡航するときはブラケットを、しっかりとハンドルを握ってスプリントしたいときはドロップ部というように使い分けを想定している。なおリーチは80mm、ドロップは124mmだ。
これらアイソフローと新型ハンドルにより、300gの軽量化を実現している。ケーブル類は全てハンドル、フレームに内蔵される。そのため対応するコンポーネントは電動のみだ。完成車スペックには、発表されたばかりの新型シマノ・105DI2仕様の設定もある。
タイヤは28mm幅まで対応
H1.5ジオメトリを採用
ジオメトリは、H1.5ジオメトリを採用。かつてはプロ向けのH1、アグレッシブでないライダーに向けたH2と同じモデルに2種類のジオメトリを用意していたこともあったが、その2つが組み合わさったH1.5がトレックのロードバイクの標準だ。
通常、完成車で発売されているバイクに標準装備されるハンドルバーの幅やステム長は決められている。(下記の表を参照)。しかし、ライダーによっては本人にとってベストなフィットにするため、異なるサイズのハンドルバーなどを求めることも少なくはない。ライダーのフィットにどう合わせていくのか(カスタムオーダーできるプロジェクトワンなら、ハンドルサイズを選べるようになる可能性がある)販売時の追加情報を待ちたい。
非常に印象的なバイクのシルエットが、フレームサイズによってどう維持されているのかも気になるところだ。
マス・ピーダスン「まるで宇宙船」
新型マドンの開発には、もちろんプロライダーが関わっている。選手は新型マドンの走りをどのように感じたのか、2019年ロード世界チャンピオンのマス・ピーダスンのコメント
「プロがバイクに求めるのは空力性能と軽さ。これが大切。新型マドンの開発は、前作マドンを手に入れた数ヶ月後からもうスタートした。アイソスピードの快適性と軽さが必要だった。新型マドンに初めて乗ったとき、ちょっとした違和感を持った。そこからエンジニアとデーターとフィーリングのコンビネーションを完璧にしていった。新作はまるで宇宙船だよ。反応がいい。とてもアグレッシブなコーナーでもハンドリングは簡単。バイクは行きたい方へ曲がっていく。スプリントしてもしっかり速度が乗る」
トレック・マドン価格
マドンSLR 9 スラム・レッドeTap完成車価格:175万6700円
サイズ:52、54、56
カラー:バイパーレッド、アジュール
マドンSLR 9 シマノ・デュラエースR9270 DI2完成車価格:166万8700円
サイズ:50、52、54、56、58
カラー:バイパーレッド、アジュール
マドンSLR 7 シマノ・アルテグラR8170 DI2完成車価格:130万5700円
サイズ:47、50、52、54、56、58
カラー:ディープカーボンスモーク、バイパーレッド、アジュール、メタリックレッドスモークtoレッドカーボンスモーク、クエストスムースシルバー
マドンSLR 6 シマノ・105R7170 DI2完成車価格:115万5000円
サイズ:52、54、56
カラー:バイパーレッド、メタリックレッドスモークtoレッドカーボンスモーク、クエストスムースシルバー
※カラー名称は変更になる可能性があります