いま最も旬なMTBレース「エンデューロ」とは【MTBはじめよう! Vol.10】
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MTBトレイルライドの基礎から学べるシリーズの10回目。だんだんとうまく走れるようになってきたら、何か大会に出てみたいと思うはず。そんなあなたにぴったりなのは、いま最も注目を集めるMTBレースの「エンデューロ(ENDURO)」だ。その特徴について紹介しよう。
エンデューロとは?
今回も教えてもらうのは、プロMTBライダー/インストラクターの板垣奏男さんだ。
下りだけタイム計測する複数ステージのレース
「エンデューロとは、下り区間だけタイムを計測し、そこに至るまでの移動区間(リエゾン区間という)はタイム計測しない競技です。自動車で言う、ラリーに近い形式ですね」。
「1日に3〜4ステージが設けられ、それらの合計タイムの速さを競います。エンデューロとは“耐久”という意味から来ている名前で、その名のとおり1日に複数のダウンヒルをこなしつつ、自走でスタート地点まで移動しなければならず、下りのスキルと耐久力の両方が求められます。なお、リエゾン区間は上りが多く含まれることが多いです」。
「各ステージにはスタート時刻が設けられており、リエゾン区間はその時刻に間に合うように移動していかなければなりません」。
初日は試走日、2日目が本番
「大会の日程は(土日の)2日間が基本です。1日のみで終わる短い大会もあります。
1日目は試走日で、この日にコースの確認を行います。大会当日しか走れないコースが採用されることが多く、そのコースを熟知している地元ライダーが強いわけじゃないのがポイントです。2日目が大会本番です。
試走日と本番のタイム計測日がセットになった日程と言えます」。
日本国内の主な大会は「ENS(Enduro National Series)」
「エンデューロは近年世界的に人気を集める競技になってきています。そして、日本国内でも人気急上昇中です。国内ではENS(Enduro National Series)というシリーズが主要な大会として開催されています。
年間3回の土日開催の本戦があり、その他に1日で終わる“ENS lites”というショートバージョンの大会もいくつか開催されます」。
ここまで紹介した基本スキルを最低限身につけていれば初心者でも参加OK!
大会には出てみたいが、実際ハードルが高いと思ってしまう。ENSの場合はどうなんだろう?
「これまでの連載で、ブレーキング、ライディングフォーム、コーナリング、ドロップオフといった基本スキルを教えてきました。これらが最低限身についていれば、初心者でも安心して参加できます。
また、ハードテールの部門が設けられていたりと、フルサスペンションバイクでなくても走破可能なコース設定となっているので、ハードテールバイクの人でも参加OKです。
また、エンデューロバイクでなくても、トレイルバイクでも十分走破可能ですし、実際トレイルバイクで参加する人も多いです。
日頃MTBパークやトレイルを走っていると、やっぱり自分の実力を試したい! 何かイベントに出てみたい! と思うものです。そんなトレイル系ライダーが出るべき大会として最もおすすめなのが、このエンデューロであり、ENSですね」。
編集部員が実際に参加してみて思ったこと(動画もチェック)
詳しくは下の動画にまとまっているので、興味があれば見てみてほしいが、筆者はENSの白馬岩岳大会に体当たりで出場してみた。ENSの中でも唯一ゴンドラを利用するコースがあり、タイム計測区間もかなり長めの大会だ。
筆者自身、ここまで教わったことをコツコツ練習し、最低限のレベルだが習得してきた(と思う)。また、バイクも下り系フルサスペンショントレイルバイクのスペシャライズド・スタンプジャンパーエボを購入。
結果は、めちゃくちゃ楽しかった。コースは一部テクニカルなところもあったが、慎重に走っていれば問題はないように感じた。タイムスケジュールも余裕があるので、リエゾン区間でタイムアウトになってしまうことはまずないだろう。最低限スキルを身につければ、初心者でも参加OKというのは本当だとうなずける。
またエンデューロという名のとおり、かなり耐久力が求められると感じられた。逆に言うと、ダウンヒルのように数分で終わってしまうスプリント競技ではなく、試走日も含めて2日間じっくり楽しめる競技なので、充実感もあった。筆者はもともとロードバイクに長年乗っていたが、ロードバイク乗りの人でも“あー、走りきった”“絞りきった”と満足できる内容だと思う。
日頃、MTBパークやトレイルを楽しく走っているだけでももちろん十分だと思うが、身につけた技術を試してみたり、“ロードバイクでいう競技志向じゃないけど耐久レースやヒルクライムレースに出てみる”のと同じように、何か大会に出てみると、MTBライダーとしての幸福感が上がるように思う。1シーズンのうちに最低限何か大会に出てみたい。そう思ったら、エンデューロはベストだと言えよう。