バイクパッキングで四国を弾丸ツーリングしてきた!【新連載 エリグチの編集後記 第1回】
目次
バイクパッキングといえば、スマートでコンパクトなバックを自転車に直接マウントしてサイクリングをすること。キャンプ道具を満載にしてのロングツーリングから、ちょっとした週末のご近所ライドまで、自分の目的に合わせて好きなアイテムを積んで走ることのできるこのスタイルだからこそ、これから取り入れてみようという人は悩み多いもの……。そこで今回は、本誌・エリグチが先日四国に走りに行ってきたときのバイクパッキングスタイルを紹介します。
バイクパッキングを活用してもっと軽々と
それはまだこの暑い夏が始まる少し前。僕は大阪の自転車仲間2人と一緒に、四国を自転車で旅することにした。サイクリング部時代からの遊び友達なので、脚も肝臓も揃っている。週末と休日1日をもらっての3日間で、最大限面白くライドをしようと思ったなら、やっぱり目指すべきは四国だ。0日目の夜に大阪南港をフェリーで出発し、愛媛県東予港に翌朝着港。そこからは自走で名所のUFOライン(瓶ヶ森林道)を経由して、高知の町で一泊(初鰹と銘酒が待っている!)。2日目は再び四国山地を越え、吉野川を上流から河口まで下り続けて徳島港へ。そこから和歌山港までのフェリーは本数が出ているので、休日1日を残して帰阪することも楽勝だ。走りごたえもうまいものも盛りだくさんのプランじゃないか!
と、そんな弾丸ツーリングを計画したら、次に考えるべきは機材選びのコト。今回は自転車はグラベルバイクの気分だったので、それをもとにして装備を選択していこう。今回は上記のプランに基づき、走行距離は両日とも150kmオーバーで、特に1日目は獲得標高も3000m近い。つまり軽量さが重視されると考えた。もとより僕があまり荷物を持ちたくない、という嗜好もあるのだけど。
ではここから各装備について説明していこう。
ツーリング仕様のグラベルバイク
愛車のグラベルバイク、サーヴェロのアスペロ。シンプルかつ軽量なフレームには、追加でマウントできるダボ穴はトップチューブ部とダウンチューブ部のみ。タイヤは700×32Cのセミスリックタイプ(IRCのボーケンプラス)をチューブドで採用。特に今回は舗装路しか走らないしね。バックパックは使わず、バイクパッキングしたアイテムと、ジャージのポケットに入るだけの荷物で走るスタイル。予定にはないけど、夜間走行やトンネルに備えてライトやベル類も忘れずに。
サドルバッグ
サドルバッグはオルトリーブのサドルバッグ4L。完全防水&荷室は一つのシンプルな構造だ。サドル裏にボルト固定したアダプターでバッグをマウントするので保持力もあり、アダプターにはフックも付いているので着脱も容易。特にサドル後部へのマウントはバイクの挙動にも影響するので、僕は軽量さを好んでいる。
また、やはり初夏の四国を目指すのだからサンダルは持って行きたい。川で遊びたいので! もちろん輪行中や町歩きにも活躍してくれる。トレッキング用のシリコンストラップをサドルレールにひっかけて、サンダルをサドルバッグに固定した。
フロントバッグ
大阪のムーブメントでオーダーした、神戸のアガルタのフロントバッグ(2L程度)。けっこう使い続けているので少々Xパック素材の見た目はヤレているけど、自分好みのサイズで作ってもらったのでこればかり選んでしまう。ちなみにオーダー内容は「文庫本が入るサイズ」。旅には本は欠かせないので! 今回バッグの裏側にオーストリッチの軽量輪行袋SLをマウントできることに気が付いた。
トップチューブバッグ
シュッとさせたかったので、トピークのファストフュエルトライボックスを使っている。トライアスリートが使うような、ポリ系素材の簡易ストレージバッグだ。ここにその日の補給バーのほか、追加荷物を運ぶためのシリコンストラップや、極薄のサコッシュを入れている。これがけっこう便利で、立ち寄った先で買った地酒ワンカップなんかも固定できたりする。
ツールボトル
BB裏にツールボトルをマウント。スペアチューブ2本、リペアキット、携帯ポンプ、小型鍵を入れている。BB裏にロングのツールボトルを付けるとフロントタイヤと干渉してしまうのを防ぐため、ミノウラのマウント穴が通常より多いボトルケージ(スライドケージ)を選ぶ。気温が上がる初夏のライドでも、補給が期待できない区間が多い四国山間部を進むので、ドリンクボトルは2本差し。
サドルバッグ中身
ここからはバッグの中に入れる荷物について。
サドルバッグは取り出す頻度が少なく、あまり重量にならないものを入れている。下着類を1ペアまとめたメッシュ袋と、ライド後などに着る衣類をまとめたドライバッグの二つを用意。かさばるものと、細かく柔らかいものを分けておけば、サドルバッグに隙間無く詰め込みやすい。ちなみにこのメッシュ袋、サイスポ6月号付録のランドリーバッグです。旅先での洗濯にマジ便利。
フロントバッグ中身
続いてフロントバッグ中身。
フロントバッグはライド中や休憩中にも取り出しやすいポイントなので、小物や必需品を入れる。というわけでマイ必需品として、サコッシュに入った風呂セット(タオル、カミソリ、歯ブラシ、あと小せっけんも)。そしてバッテリー兼充電器や輪行中の音楽用などの電子デバイス類、そして文庫本はジップロックに入れて運ぶ。ライド後においしいビールを飲むために、体力の消耗を防ぐ日焼け止めも忘れずに。
ウェア類
ツーリングの一番の目的はもちろんサイクリングである。だからウェアは乗車時に快適なものを選びたい。今回はパールイズミのTシャツにバックポケットがついた「シティライドT」と、短パンとレーパンが合体した「レータン」(インナーパッドが付いた短パン)をセレクト。船や電車、飲食店に入る時も違和感ナシ。また、トレッキング用を兼ねたフィールキャップのアウトドアキャップ、ラファのウィンドブレーカー、ジロの2穴式(SPDタイプ)サイクリングシューズなど、ライドでの利便性を重視しつつも旅のワンシーンにも活躍するアイテムを好んで使っている。
ミニマムバイクパッキング装備で四国旅へ!
さあこれで準備はばっちりだ! あとは天気予報をチェックして、夜に甲板の上で飲むお酒を買い込んで、大阪南港のフェリーターミナルから、東予港行きの夜行フェリーに乗船するだけ! ここから絶景と酒と風呂を巡る愉快な自転車の旅が始まるのだけど……それはまたあらためて。
バイクパッキングは自分の走りたい道や目的地、遊び方によってまさに千差万別その人だけのオリジナルのスタイルを作り出す。
「どんな道をどんなペースで走る?」、「走った先でどんなことをしたい?」、「どんな雰囲気で楽しみたい?」。そんなコトを考えながら荷造りをする時間もまた、バイクパッキングで行く旅を構成する要素のうち。だからこそ、次の大きなサイクリングの計画に向けて、あなただけのバイクパッキングを楽しんでみて欲しい!
本誌・エリグチ
酒と温泉を求め、路地裏からグラベル林道の最奥まで走る本誌編集部員。サイスポ特集を担当しながら各地を自転車で遊んでいる。大阪出身の30歳。「エリグチの編集後記」は本誌取材の裏側や小ネタをレポートする不定期連載です。
Twitter @ergtick2019