20万以下ロードバイク一気乗り!ビアンキ–アサノ試乗します!その42
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中島編集長(左)、ライターアサノ(右)
さまざまなブランドの完成車を乗り比べ、パッケージングの分析や乗り味の評価を行う連載「アサノ試乗します!」。今回からはサイクルスポーツ中島丈博編集長とともにインプレッションを行う。新体制での連載最初の企画は、20万円以下のロードバイク3台の乗り比べ。まずはビアンキのエントリーロード・ヴィアニローネ7ディスクをチェックする。
ヴィアニローネ7ディスクは、ビアンキのロードバイクのラインナップではエントリーグレードに位置する手ごろなロードバイク。フレームはアルミ製で、ジオメトリーは2021年モデルのヴィアニローネ7オールロードと共通だ。
2021年モデルはヴィアニローネ7オールロードという製品名で販売されており、シマノの10スピードグラベルバイク用コンポーネント・GRXをメインコンポーネントとするなど、グラベル色の強いバイクだった。
今回紹介する2022年モデルは、ヴィアニローネ7ディスクとしてリニューアル。メインコンポーネントにシマノの9スピードロードバイクコンポーネント・ソラを搭載し、価格を税込15万円台まで下げるなど、エントリーロードとしてのキャラクターを色濃くした。
ヴィア ニローネ7ディスクの細部をチェック
続いて、ヴィアニローネ7ディスクのフレームやフォークの細部やパーツアッセンブルをチェックしよう。
フロントフォークは標準装備の700×32Cタイヤも余裕ではけるクリアランスを誇る。最大40mm幅のタイヤも履きこなすので、太めのタイヤを履かせてオールロード的な使い方も楽しめそうだ。
フロントフォークはカーボン製。振動吸収性の高さが魅力だ。フォークブレードの側面にはダボがあり、泥よけやキャリアなどを増設する際に役立つ。前輪の固定方式は12mmスルーアクスルが採用される。
BBやクランクセットもシマノ製のパーツで統一。左右クランクとBBがそれぞれ別体のかつてスタンダードだった3ピースタイプで、クランクとBBの嵌合部には、8つのスプラインがあるシマノ独自のオクタリンク方式が採用されている。かつてはデュラエースも採用していた規格だ
メインコンポーネントは、シマノのロードバイクコンポーネント・ソラ。2×9スピードで、チェーンリングは50-34T、スプロケットは11-34Tとなっている。最も軽いギヤ比が1対1になるので、急勾配でも軽いギヤが足りなくなる心配はほとんどないだろう
ブレーキはシマノのメカニカルディスクブレーキ。天候に左右されず、安定した制動力が得られるのは魅力だ。ホイールの固定方法は後輪のみスルーアクスルではなく、クイックリリースを採用する
標準装備のタイヤはクリンチャータイプのヴィットリア・ザフィーロ700×32C。ホイールはチューブレスレディ対応で、専用のタイヤやリムテープ、バルブ、シーラントを使えばチューブレス化も可能だ。チューブレス化すれば、転がり抵抗を犠牲にせず空気圧が下げられるため、快適性を高めることができ、ライドクオリティを全体的に底上げするアップグレードが実現できる
VIA NIRONE 7 DISC
価格:15万8400円
カラー:シリアルブラック/チタニウムシルバーフルグロッシー、CK16/チタニウムシルバーフルグロッシー
素材:アルミ
サイズ:47、50、53、55、57
メインコンポーネント:シマノ・ソラ
ホイール:VELOMAN ATD470 700C 622×17 チューブレスレディ
詳細(https://www.japan.bianchi.com/bike-detail?id=22)
アサノ&ナカジ編集長のインプレッション
今回からインプレッションはライターアサノとサイクルスポーツの中島編集長2人体制で行うこととなった。それぞれの趣味趣向や立場から多角的に分析していく。
シマノのフルコンポで組んでいる点を高く評価したい
浅野 今回から20万円以下で買えるロードバイク3台を乗り比べます。まずはビアンキのヴィアニローネ7ディスクです。メインコンポーネントがシマノのロードバイクコンポーネントのソラで2×9スピード、ブレーキは機械式ディスクブレーキで、ホイールはチューブレスレディ対応、価格は15万円台後半というパッケージです。
中島 こういうエントリーモデルって、メインコンポーネントがシマノ製でも、一部他ブランドのパーツを混ぜてコストダウンを図ったりしますが、ヴィアニローネはソラを基本にシマノ製で統一しているんですね。まずはそこを高く評価したいです。
浅野 スペック表を見るまで分からなかったのですが、ホイールがチューブレスレディ対応というのも個人的にはいいと思います。チューブレス化することで、転がり抵抗をそれほど犠牲にしなくても低い空気圧で走れるようになりますし、ロングライド愛好者ならまず試してもいいカスタムだと思います。しかも、最大40mm幅のタイヤを履かせられるようなので、比較的路面状態のよいライトなグラベルなら十分楽しめそうです。
中島 個人的にはフレーム塗装も評価したいですね。イタリアンブランドのビアンキらしいきらびやかな印象で、価格帯に対してクオリティが高い印象を受けます。
浅野 フレームは2色あって、今回のブラックの他にもビアンキのブランドカラーであるチェレステも選べます。ビアンキに乗るならチェレステを選びたいという方が多い気もしますが、ブラックもシックな印象でカッコイイですね。
走りは意外にスポーティー。ポジション調整幅も広い
浅野 走りの印象はどうでしたか? 個人的にはチェーンステーが437mmとかなり長くてホイールベースが長めだからか、直進時の安定感はあるけれど、コーナーリングではレーシングバイクのような切れ味はあまり感じなかったです。ロードレース的な走りよりはロングライドとかエンデューロのような、淡々と走るのに向いていると感じました。スポーツバイク初心者に乗りやすい味付けだとは思うので、「誰にでも乗りやすい」とは言えると思います。
中島 今回乗った3台の中では一番スポーティーに感じましたね。標準装備のタイヤが700×32Cでしたけど、28Cぐらいのもう少し細めのタイヤの方がマッチするんじゃないかと感じたぐらい。ヘッドチューブが短めで、ハンドルも400mm幅の狭めのものが付いていたからかもしれないですね。
浅野 確かにヘッドチューブが短めなので、ハンドルを下げやすく、スポーティーなポジションを出しやすいと感じました。もちろんステムやハンドルも汎用品ですし、サドル高も簡単に調整できるので、ユーザーサイドでのポジションの調整幅は広いと思います。実際に僕が試乗したときはハンドルを一番下まで下げていましたが、腕が長い僕でもハンドルの高さを自分の乗りやすい高さまで下げられました。今増えているエンデュランス系ロードはヘッドチューブが長いものが多くて、僕の腕の長さだとポジションが出せないことが多いんですよ。
中島 そうやって考えると、フレームの前三角のジオメトリーは意外にもエンデュランスロードなんてなかった時代のロードバイクに近いといえるかも。
浅野 確かに、乗り味も硬めで、昔からあるオーソドックスなアルミフレームのロードバイクという印象ですね。それと比較的ロングライド向けという点も鑑みると、タイヤは32Cがこのバイクのキャラクターには合っていて、細くても30Cぐらい、グラベルも含めたオールロード的な楽しみ方をするならもっと太くてもいいと感じました。
中島 ディスクブレーキとクイックリリースは、ホイールを注意して入れないとローターが擦りやすくて相性があまりよくない気がします。あと、このバイクに乗り続けて行って、ホイールをアップグレードして楽しみたいと思ったときには、選択肢がほぼないのでこれはちょっと残念ですね。ただ、初期状態ではリアホイールはクイックリリース用ですが、リアエンドを交換することでスルーアクスル(12-142)に対応することが可能とのこと(※上記は掲載した2022年5月時点での公式情報。2023年9月21日時点では、本交換はメーカーによる保証対象外につき非推奨です・編集追記)なので、ホイールをアップグレードする際は検討するといいでしょう。
見た目の華やかさを重視する人、グラベルバイクが少し気になる人におすすめ
浅野 最後にこのバイクをおすすめしたいのはどういう方ですか?
中島 今回試乗したエントリーモデル3台の中でも、フレームのきらびやかな感じは際立っているので、初めての1台だとしても見た目の華やかさを重視する人にはいいんじゃないでしょうか。
浅野 個人的には「1台目はロードバイクがいいけれど、グラベルバイクがちょっとだけ気になる」という人にもおすすめしたいですね。最初は通勤ライドとか週末のロングライドとかから始めて、それに少し飽きてきたり、もう少しいいバイクを手に入れたりしたら、38〜40Cぐらいの太めのタイヤを履かせて、ライトグラベルもカバーするオールロード的なバイクにキャラクターチェンジして楽しんでもいい。となると、このバイクのポテンシャルが生きてくると思います。