メリダの新フルサスMTBワンシックスティとワンフォーティを試乗
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台湾の大手スポーツ自転車ブランドMERIDA(メリダ)から、新型のフルサスペンションMTB(マウンテンバイク)の「ONE-SIXTY(ワンシックスティ)」と「ONE-FORTY(ワンフォーティ)」が登場。ワンシックスティはエンデューロバイク、ワンフォーティはトレイルバイクだ。それぞれを試乗してみた。
メリダ・ワンシックスティとワンフォーティの特徴
それぞれ、“性能に妥協しない”、“フィット感に妥協しない”、”機能に妥協しない”をコンセプトにしている。
ワンシックスティはフロント170mmトラベル、リヤ162mmトラベル(後輪29インチホイール装着時)のエンデューロバイクだ。エンデューロとは近年人気となっている1日に複数のステージをこなし自走でステージ間を移動する耐久型グラビティレースで、エンデューロバイクとはダウンヒルバイクのような下り性能を持ちつつも自走で上ることができる性能を備えたMTBのカテゴリーだ。前後29インチホイールだが、設定を変更することでマレット化(リヤ27.5インチで前後異径化)も可能となる。なお、Sサイズは初期でマレット仕様となる。
この他にアルミフレーム完成車のワンシックスティ500(価格:41万5000円・税込)もラインナップする。
ワンフォーティはフロント150mm、リヤ143mmトラベルの“やや下り系トレイルバイク”だ。高い登坂性能を持ちつつも、高いダウンヒル性能も併せ持つ。こちらは標準で前後29インチホイールが搭載されるが、設定の変更でマレット化も可能だ。
他に、アルミフレーム完成車のワンフォーティ400(価格:37万9500円・税込)もラインナップする。
共通するテクノロジー(アルミフレーム完成車では共通しないものもある)
「ワンシックスティ」&「ワンフォーティ」を試乗〜癖がなく扱いやすさが光るメリダらしいバイク
まずはエンデューロバイクのワンシックスティ6000に試乗。多くのドロップが連続するようなパークコースと自然地形の下り系トレイルで走ってみたが、第一に癖のない扱いやすさを感じた。ハンドリングが非常に素直かつクイックで、安定感もかなり高い。バームでのコーナリングでは狙ったラインを気持ちよくトレースしてくれる。
一方でエンデューロバイクらしく、大きめのドロップを飛んだときの衝撃吸収性も抜群で、着地後の安定性もピカイチ。岩の段差が連続するようなセクションでも挙動が不安定になりにくい。
上りのペダリングもこの手のバイクとしては軽い方だと感じた。急勾配の上りや岩がごろごろと転がるような難しい上りセクションでもトラクションが抜けにくく、また車体の軽さと相まってすいすいと上る。
続いてトレイルバイクのワンフォーティ6000。ワンシックスティに比べるとそのコンセプトどおりやはり登坂性能がより高い。急坂での荷重コントロールがよりしやすく、ペダリングするときびきびと進む。
一方、フロント150mm、リヤ143mmと、トレイルバイクとしては下りに振ったセッティングになっているので、下り性能も高いと感じた。さすがにドロップを飛んだりするシーンや荒れたセクションでの性能はワンシックスティに軍配が上がるが、タイトコーナーでの車体の取り回しやちょっとしたジャンプで車体を浮かせるアクションが非常にやりやすい。
感覚としては、フロント130mm〜140mmトラベルのオーソドックスなトレイルバイクなみの登坂性能と機動性を持ちつつも、“かなり下りもいけてしまう”といったところだ。ダウンヒルコースでのライドもテクニックがあれば十分可能で、日本国内で開催されるエンデューロレースにもこのバイクで問題なく参戦できるだろう。
ワンシックスティは、シーズン中はゲレンデ型MTBパークでのライドを楽しみつつエンデューロレースに参戦したり、パークのオフシーズン中は自走で上るスタイルでのグラビティライドを楽しむなど、1年を通じて遊べるオールラウンドで癖のない、まさにメリダらしいMTBだと言えよう。
ワンフォーティは自走でのトレイルライドを楽しむスタイルをメインとしつつも、バイクパークで遊んだりたまにエンデューロレースに参加するなどのスタイルの人にはもってこいだ。2モデルとも、まさにコンセプトどおりのバイクに仕上がっている。
しかし残念なのはサイズ展開が日本国内では2つしかないこと。確かにドロッパーの調整等でフィッティングは幅広い身長の人で可能は可能だろうが、中間となるMサイズの展開がほしいところ。