「しまなみ」から始まる広域サイクリング推進協議会「Setouchi Vélo(セトウチ ヴェロ)」が設立!

来島海峡大橋を前に並ぶセトウチヴェロの参加者

来島海峡サービスエリアにて、来島海峡大橋を前に並ぶ「Setouchi Velo」の参加者

今や日本を代表する人気サイクリングコースである、愛媛県と広島県に渡る「しまなみ海道」。そして「サイクリングアイランド」として四国四県を巡る「四国一周サイクリング」と、サイクルツーリズムを積極的に推進する瀬戸内地域。そんな中国・四国エリアで、行政間において広域で連携・協力し、世界屈指の「サイクリングの推進エリア」を目指すための協議会「Setouchi Vélo」が発足した。

2022年10月29日(土)には、本四高速の愛媛県の玄関口である来島海峡大橋のサービスエリア「来島海峡SA」にて、愛媛県の中村時広知事、広島県の湯﨑英彦知事、四国地方整備局の荒瀬美和局長をはじめとした中・四国エリアの関係者が席を並べ「愛媛宣言」を採択。同宣言の骨格となるのは大きくは3つの内容だ。1つは各エリアに展開されるコースを行政の境界を越えて連携する「サイクリングルートのネットワーク化」。幅広い利用者にとって快適性の高い自転車文化の構築を目指す「サイクリングの推進エリア化」、そして各種宣伝・発信活動を積極化する「国内外への情報発信」というものだ。

この「Setouchi Vélo」に10月現在で含まれるのは、以下の県の78コースとなる。
兵庫県(アワイチをはじめとした14コース)、岡山県(吉備路自転車道ルートなど8コース)、広島県(広島県立中央森林公園など7コース)、山口県(秋吉台グリーンカルスト街道など13コース)、徳島県(Tラインルート5コース)、香川県(小豆島ルートなど6コース)、愛媛県(今治・道後はまかぜ海道など10コース)、高知県(四万十ヘブンズロードなど15コース)、そして広島県&愛媛県の「瀬戸内しまなみ海道」だ。「one setouchi,each story.」の名の下に、ひとつの瀬戸内のエリアにおけるそれぞれのコースごとの魅力を活かし、本事業は展開されていく。

また、同協議会は8県の地方自治体や各地方整備局、地方運輸局、経済連合会、広域連携DMO、本四高速道路といった団体で構成され、その下に各市町村の自治体および観光協会やDMO、ルート管理者が続くことで、包括的な管理・運営が可能となる。

 

サミットで「愛媛宣言」を行う愛媛県の中村時広知事

Setouchi Vélo来島海峡会議で「愛媛宣言」を行う愛媛県の中村時広知事。この後、満場の拍手によって同宣言が採択された

 

同会議では、愛媛県の中村知事が「10年前に世界へ“しまなみ”の発信を始めたことをきっかけに始まったサイクリングのネットワークを、今度は瀬戸内全体を巻き込んだ“サイクリングワールド”となるようブランド価値の向上を図っていきたいですね。そしてこのような広域自治体かつインフラを巻き込んだ連携となるからこそ、現在の高性能なスポーツ電動自転車”eバイク”に、国内規制をかけることなく世界基準と同等のスペックのまま走ることのできる”特区”を作ることも、本エリアなら可能となってくるかもしれません」と話した。
また、広島県の湯﨑知事も「本協議会にご参加の皆さんは、自転車に乗っていると遊んでいると思われてしまうかもしれませんが、これはれっきとした仕事ですので。これからはしっかりと自転車に乗っていきましょう!」と音頭を取り、本宣言の採択終了後には参加者がeバイクに乗車してしまなみ海道を走行する「トライアルライド」も開催された。

 

サミットライド

トライアルライドでは、参列者がそれぞれ「Setouchi Vélo」のサイクルジャージ、ヘルメットはブルーのカブト・キャンバスを着用して、ジャイアント・エスケープRX-Eに乗車した

 

これまで国内では、一つの県内やエリア内でサイクリングを完結させるようなコース整備やサービスが多く行われてきた。そしてそれらの境をまたいで移動することの多いサイクリストにとっては、上記のような各コースが、ソフト・ハード両面から連携が強化されることは非常に歓迎すべきことだろう。そしてナショナルサイクリングルートの設定の際や、台湾一周「環島」の整備の際にお手本になったような「しまなみ」の自転車文化推進のノウハウが一つの基準となることは、今後の日本のサイクルツーリズムにとっては大きな前進となると言える。

そして同協議会が、今後は中国地方の2県や関西、九州、そして他のナショナルサイクリングルート、あるいは国外のコースと連携していけば、日本のサイクリング事情は大きく変わって行くこととなる。本「Setouchi Vélo」の会合は今後も継続して開催されていく予定で、2023年の次回は香川県にて開催予定となる。この日本屈指の美麗な景観とライド体験を与えてくれる瀬戸内エリアが、より多くのサイクリストから熱い視線を送られるエリアへ育っていくことは間違いない。

 

トライアルライドの後は今治国際ホテルに場所を移し、協議会設立総会が開催。同会の設立を祝して鏡開きが行われた

門田基志さん

設立総会で記念講演を行ったプロサイクリストの門田基志さん。翌日30日に開催された大規模サイクリングイベント「サイクリングしまなみ」でも、愛媛県知事とともにライドを行った