ラファ 弱虫ペダル スーパークロス野辺山2022 男子は織田聖、女子は小川咲絵が制す
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シクロクロス2022-23シーズンの国内UCIレース初戦となるラファ 弱虫ペダル スーパークロス野辺山が11月13日(日)に開催された。
男子エリート、女子エリート、男子ジュニアの各カテゴリにおいて、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、小川咲絵(AX CYCLOCROSS TEAM)、澤井千洋(SNEL)がそれぞれ勝利を飾っている。
シクロクロスの祭典として全国から参加者を集める人気大会であるラファ 弱虫ペダル スーパークロス野辺山。土日を通じて2日間開催され、そのうちに日曜日の11月13日にUCIレースが3戦開催された。多くの選手は前日の土曜日のレースも走っており、コースコンディションやライバルの仕上がりをチェックして当日に臨んだ。
少数ながら精鋭が揃う男子ジュニア
男子ジュニアカテゴリーの出場は4人と数は少ないものの、脚に覚えのあるレベルの高い選手たちが揃った。前日の男子エリート カテゴリー2で3位入賞の高橋壮(サガミレーシング)や、同じくカテゴリー3で2位に入り昇格を果たした澤井千洋(SNEL)はすでに一般カテゴリーで結果を出しての出場。
レースは序盤に飛び出した澤井が後続を寄せ付けず独走勝利。2位には佐々木啄人(宮城県泉高等学校)が37秒差、3位に高橋が1分11秒差で入っている。澤井は同じくこの3人での表彰台闘いとなった前週の幕張クロスジュニアカテゴリーに続いての優勝となった。
■男子ジュニア結果[11月13日/6周]
- 澤井千洋(SNEL)40:49
- 佐々木啄人(宮城県泉高等学校)+0:37
- 高橋壮(サガミレーシング)+1:11
女子エリートは小川咲絵が他を寄せ付けず勝利
13人の出走となった女子エリートは、前日の女子エリートカテゴリー1で圧勝した小川咲絵が連日の独走勝利を飾った。いずれもライバルたちにつけ込む隙を与えぬ完勝だ。
スタートから積極的に飛ばしたのは、前日4位に終わった地元長野出身の大蔵こころ(早稲田大学)。小川と2人で先行する形で1周目の立ち上がりを見せたが、次第に小川のペースに遅れ始める。
その後方から追い上げる走りを見せたのはヒューマンパワードヘルスの與那嶺恵理。UCIウィメンズワールドツアーチームに所属するプロロード選手ながら、前週の幕張クロスよりシクロクロスシーズンをスタート。出場したシクロクロス全日本選手権ではすべてポディウムを獲得している前日2位の與那嶺が、じわりじわりとペースを上げ、大蔵を捉えた。
しかし2番手に浮上した與那嶺と小川の差は詰まることなく、終始安定した走りを見せた小川が今季UCIレース初優勝。続くUCIレース、そして昨年僅差で2位に甘んじた全日本選手権に向けて弾みをつけた。
2位には前日は2分以上あった差を1分縮めた與那嶺が入った。前週から徐々にシクロクロスの走り方に適応している與那嶺の存在は、小川そして今大会はツール・ド・おきなわ出場のため欠場した全日本チャンピオン渡部春雅(明治大学)の脅威となりうる。
3位には終始與那嶺に食らいつく走りを見せた大蔵こころが入り、続くシクロクロスシーズンに期待がかかる。早稲田大学は石田唯を4位に送り込み、野辺山2日間を通じてチーム力を印象づけた。
■女子エリート結果[11月13日/6周]
- 小川咲絵(AX CYCLOCROSS TEAM)47:58
- 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)+1:21
- 大蔵こころ(早稲田大学)+1:32
コンディション変化を押し切った織田聖が男子エリートを制す
女子エリートの終わりに振り始めた雨は、男子エリートがスタートすると本降りに。このため、60分間にドライコンディションからマッドコンディションへと変貌するテクニカルなレースとなった。
67人が出場したレース。前日ホールショットからフィニッシュまでを独走で優勝した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)に対して、前日4位の20歳鈴木来人が積極的な走りでレースをスタート。高速化した集団から織田とそのチームメイト、中島渉が2人で先行する。
後続では全日本チャンピオンで前日2位の小坂光(宇都宮ブリッツェン)、鈴木、そして前日3位の竹之内悠が前を行く織田と中島を追いかける展開に。
全9周回となったこのレースも、織田が単独で先行を開始。その間に降り続いた雨は、レース中盤にかけてコースをマッドコンディションへと変貌させた。先頭を走る織田が「レース中に5回は転びました」と語るように、濡れた芝や泥のコーナーはスリッピーに。レースの各所で転倒が目立つが、上位勢は事前にマッドタイヤを装備したスペアバイクを用意するなど、戦術・サポート体制の充実もリザルトに直結することとなった。
テクニカルな泥コンディションになり、水を得た魚のような走りを見せたのは竹之内。小坂との2番手パックから抜け出し、単独織田の追走にまわる。ワールドカップや本場ベルギーでのレース経験豊富な竹之内は国内屈指のテクニシャン。5度の全日本王者に輝いた竹之内のプレッシャーを織田は「正直追いつかれるんじゃないかと怖かった」とレース後述懐している。
しかしロードではEFエデュケーション・ディベロップメントチームに所属し、ヨーロッパで鍛えられた織田のフィジカルがこの日は勝った。すべての周回のシケインをバニーホップで超えるテクニックで会場を沸かした23歳が逃げ切り勝利。野辺山2日間のみならず、今シーズンのJCX戦で4連勝を遂げた。
2位には前日からひとつポジションを上げた竹之内。この週末の2連戦のために組み上げた新車での参戦となったが、ひとつ手応えを得たレースとなったようだった。3位には小坂。リザルト上はひとつ落としたが、長いロードシーズンを終えてのシクロクロスシーズンに入り、コンディションが少しずつ上向いているのを感じているという。
2日間を通じて同じ顔ぶれが表彰台を独占した男子エリート。シクロクロス3強に、ツール・ド・おきなわのため欠場した沢田時(チームブリヂストンサイクリング)を加えた4人が続くUCIレース、そして全日本選手権での有力選手であることを示した。
次戦UCIは11月20日(日)の琵琶湖グランプリ。そして12月17日〜18日の宇都宮の2連戦に続く。今シーズンの全日本選手権は、例年の12月中旬と異なり、1月中旬となる。長いシーズン、エリート選手たちのコンディションづくりにも注目したい。
■男子エリート結果[11月13日/9周]
- 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)47:58
- 竹之内 悠 +1:21
- 小坂光(宇都宮ブリッツェン) +1:32
スーパークロス野辺山 大会概要
日程:2022年11月12日(土)〜11月13日(日)
会場:滝沢牧場(長野県南佐久郡南牧村野辺山23-1)
大会Webページ:
https://nobeyamacyclocross.cc/