女性用サドルってどうなの?4種類をロードバイク女性がインプレしてみた<みみみ通信 Vol.5>
目次
多くのサイクリストを悩ませる「サドル沼」。答えが見つからずに困っている女性も多いはずです。今回はレディースサドルを調査。フィジーク、リブ、セライタリア、スペシャライズドの4製品を実際に試してみました。
ロードバイクの女性用サドルとは?
昨今では、女性用ロードバイクやウェア、アイテムなど、レディースモデルが続々と登場しています。いち女性として、女性用品のシェアが増えるのは嬉しいものの、「実際に使いやすいの?」という懐疑的な気持ちも。
中でもサドルは悩ましいパーツのひとつ。同性であっても合う・合わないは人によって違うため、自分にぴったりなサドルが見つからずに泥沼化する「サドル沼」にハマり込む人も少なくはありません。
果たして女性用サドルは、女性ライダーにどのような恩恵をもたらしてくれるのでしょう。今回は4メーカーのサドルを取り寄せて、女王ことファッションモデル・石垣美帆と、報道官ことサイスポライター・大城実結のふたりでインプレッションしました。
今回試したのはフィジーク、リブ、セライタリア、スペシャライズドの4製品
数ある女性サドルのうち、今回は代表的な4メーカーのアイテムをお借りしました。それぞれ見ていきましょう。
【fizik(フィジーク)】LUCE R5 S-alloyレール forウーマン
フィジークの女性向けレーシングサドル「ルーチェ」。女性の骨格に合わせた設計と、デリケートゾーンへ当たる部分に穴あき箇所を設けることで、快適性のアップを図りました。
サイズ展開:レギュラー(R)、ラージ(L)
重量:230g(R)、240g(L)
【Liv(リブ)】LIV ALACRA SL
ジャイアントより誕生した女性向けブランドリブのサドル「アラクラ(?)」です。人間工学に基づいて設計されたショートノズルデザインや、圧力を分散させるような設計で、ライド中の痛みや痺れを防ぎます。
サイズ展開:1種のみ
重量:220g
le Italia(セライタリア)】LADY GEL フロー
セライタリアの「レディ ゲル フロー」は、座面の幅が広く、パッドがたっぷり入ったコンフォートモデルです。女性の骨盤の形を考慮した設計と、ライド時間を考慮したパッド量が特徴です。
サイズ展開:S2/L2
重量:300g(S2)、310g(L2)
【SPECIALIZED(スペシャライズド)】POWER EXPERT WMN
スペシャライズドの「パワーエキスパート WMN」は、女性向けのパワーサドルです。スペシャライズドが独自に研究するバイオミミクリー(生体模倣。略してMIMICテクノロジー)と特許取得のサドル設計で、どんなライドポジションで走っても快適なライドを味わえます。
サイズ展開:143/155
重量:243g(143)/256g(155)
幅広の骨盤に合わせた座面が特徴的なフィジーク
臀部の幅広い設計が特徴的なフィジークのルーチェ。しっかりとお尻をフォローしてくれそうな印象です。しかし実際に乗ってみると、「少々違和感がある」と女王。
「お尻が面に乗っている感覚があって、私のお尻にはあまりフィットしないみたい」(女王)
報道官も実際に乗ってみると、がっちりとした乗り心地が印象的でした。例えるならば、面に接する坐骨2点がピンポイントに浮き上がるようなイメージです。
デリケートゾーンの穴あきは賛否が分かれました。センターの圧が抜けて座りやすく感じた報道官に対して、「逆に違和感がある」と言う女王。同じサドルであれど、ここまで感じ方が違うのかと驚かされます。
女性用の第一線を行くリブはいかに……?
リブのアラクラはなだらかな曲線のシルエットが印象的。デリケートゾーンに当たる部分は縦に長く抜けており、全体的に丸みを帯びたデザインになっています。
「違和感はないけれど、全体的に少し固い印象があるかな〜。やっぱり私は真ん中が抜けていない方が座りやすいのかも……」(女王)
報道官が試してみたところ、女王の言うプレッシャーゾーンの隙間は、私にとってはメリットとして作用していました。デリケートゾーンに余計な圧力がかからないため、長時間乗ったあとの痺れなどなさそうです。が、一方で全体的に座面が固く、お尻と反発し合うような感覚がありました。
唯一のたっぷり肉厚パッド、セライタリア
今回集まった4つのサドルの中で、最も分厚いパッドを採用していたセライタリアの「レディ ゲル フロー」。セライタリアの公式サイト曰く、パット量は性別に関係なく、乗車時間に関連しているとメーカーでは考えているそうです。
『短い時間(2時間以内)のライドでは、サポートする皮下組織が圧力に適応していないため、厚いパッドが最適です。 一方、中程度の長さのライド(4〜5時間)では、パッドは少なめにして、跳ね返りの影響から来る痛みを和らげることをお勧めしています。 5~6時間を超えるライドでは、再び厚めのパッドが必要になります』
また、独自の研究により幅広の設計ではなく、デリケートゾーンを男性とは異なる荷重ポイントとして考慮し、穴を男性よりも大きく、後方に配置したそうです。
実際に試してみた女王は「結構フィットするかも!」と嬉しそう。
「これならデリケートゾーンへ当たる部分の穴あきも苦手な感じがしないな。パッドも分厚いだけあって、フィット感も上々だよ」(女王)
報道官こと筆者も試してみたところ、なかなかグッドな印象でした。
まず見た目通り、ボリューミーなパッドの心強さがあります。スポーツバイクを始めたばかりの人や、ツーリングをメインに楽しむライダーなど、「速さ<快適性」を重視する際に有力候補に挙がりそうです。
デリケートゾーンに関してはもちろん◎。長距離のライドでも快適に過ごせそうです。ただ、サドル重量が他製品と比べて重いため、バイクの軽量化を図る際には悩ましいでしょう。
「脚がクルクル回る!」女王も驚愕のスペシャライズド
スペシャライズドの「パワーエキスパートWMN」は、この中で唯一デリケートゾーンに当たる部分が抜けていないサドルです。その代わりに素材の弾性がグラデーション的に変化しており、プレッシャーゾーンに該当する部分は中密度のフォーム(発泡素材)を用いているようで、ぷにぷにと柔らかでした。またノーズにもさわり心地の良い素材が用いられているのも特徴的です。
「えっ!?」と大声を上げたのは、試しに乗ってみた女王。
「なにこれ、サドルに座っている感覚がないよ!」(女王)
曰く、「違和感や痛みなど全く感じない。その上、脚がどんどん回る」のだそうです。
それは褒めすぎじゃないのと疑いつつ筆者も試したところ……これはすごい!
どっしり座る感覚ではないので、荷重が脚にスムーズに伝わり脚が回る。それでいて臀部やデリケートゾーンへの圧迫感はありません。
POWERサドルをはじめ、名サドルを次々と世に輩出してきたスペシャライズドですが、女性用サドルも例外ではないようです。サドルによって感じ方が異なる女王と報道官も、これには納得。サドル沼から抜け出せない人は、ぜひ試してほしいアイテムです。
サドルとの相性は十人十色、ベストを見つけ出そう!
サドルには正解がなく、それでいてパフォーマンスに直結する重要なパーツです。今回4つのサドルを試してみて導いた結論は「女性用であれど、感じ方は同性であれ人によって違う」ということでした。
ベストなサドルを見つけるためには、引き続き地道にさまざまなサドルを試してみる必要がありそうです。その際に「女性用」のカテゴリーまで絞って探せるのであれば、より近道ができるかもしれませんね。
シンデレラのガラスの靴ならぬ、私のお尻にぴったりなサドルは──。
よりベストなサドルを探して、一緒にサイクルライフを楽しんでいきましょう。みみみ通信では引き続き、女性サイクリストが気になるアレコレを調査していきますよ♪
サイクルスポーツ本誌で好評連載中のコラム。ファッションモデル石垣美帆(女王)とライター大城実結(報道官)が、女性や初心者に役立つ情報や気になるネタをとことん調査します! 調査してほしいこと、話してほしいこと、2人への応援メッセージなどあれば、こちらのフォームまで。