男子サイクリスト諸君! エスコート上手になれ!
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皆さんはだれとサイクリングをしていますか? クラブ員、友人、パートナーと、いろいろなパターンが考えられます。ここ数年でスポーツバイクの裾野が広がったこともあり、女性サイクリストの姿を見かけることも増えてきました。
とはいえまだまだ女性の少ないスポーツジャンル。男達だけが自分のペースで走ってしまい女性が置き去り……なんてことも。みんなで楽しく走るには、しっかりとエスコートできる男性サイクリストが必要なんです。
じゃあ、どんなことが求められているのか。サイクリストご夫婦のtom’sサイクリングさんに聞いてみました!
tom’sサイクリングとは
夫TOMIさん、嫁YOPIさんによる夫婦ユニット「tom’s cycleing」。Youtubeチャンネルの登録者は2万人を越える。機材系のインプレやツーリング動画をはじめ、夫婦そろって理学療法士ということを生かし、サイクリスト向けの体のケアなど、バリエーション豊かな自転車動画を投稿している。
ペースを合わせて気遣ってくれる
経験値はもちろん男女の体力差で、どうしても脚力差が出てしまいがちです。女性サイクリストならば、前を走る男性の背中がどんどん遠くへ行ってしまった……。と、寂しい経験をしたことがある人も多いはず。
「走行中や信号待ちの時に、ペースのフォローをしてもらえると助かりますよね」
と、話すのはYOPIさん。TOMIさんに誘われて2年前からロードバイクに乗り始めたYOPIさんでしたが、はじめは一緒に走るだけでも一苦労だったそうです。
「必ず信号待ちで止まったときに千切れちゃうんですよね。ストップ&ゴーとクリートの脱着で戸惑って、かなり距離が離れちゃって。かといって、なかなか声をかけることもできず……」
そんなときにTOMIさんは、声がけをしつつスロースタートを心がけたと言います。またライドの初めに、当日の走行ペースや互いの経験値を共有しておくのも、快適なライドを楽しむコツだと言います。
素敵な景色、目的地を知っている
サイクリングの目的はさまざまですが、せっかくの休みに出かけるなら、やはり+αの楽しみがほしいもの。
景色の良いサイクリングルートや、おいしいご飯が食べられるスポットにエスコートしてもらえる、というのも女性にとっては嬉しいものです。
「でもなかなか計画通り進まないことも多いんですよね~」
と、YOPIさんが教えてくれたのは、とある自転車デートの話。事前に計画を練って出かけたものの、トラブルが相次ぎデートプランが難航してしまったそうです。
「群馬県の嬬恋村へ行ったのですが、思ったよりも道がキツくて……。帰りの電車の時間も本当にギリギリで『もう踏めない!』って叫びながら走ってました(笑)」
夫婦揃って大爆笑しながら教えてくれたデートは、もしかすると成功ではなかったのかもしれません。ですが、二人の関係を深めてくれたことは確か。素敵な景色や目的地はもちろんですが、どれだけ二人で濃い時間を共有できたかがカギなのかもしれませんね。
残りの走行距離をサバ読まない
「『あとちょっとだから』と言われて残り20km、『あとは平坦だよ~』と言われて複数の峠……。”自転車乗りあるある”ですよね」
ロードバイク乗りは悪気はないものの、このあたりの感覚が確実に麻痺しています。女性にとっては「ちょっとじゃないし!」「激坂だし!」となることもしばしば。抽象的な表現ではなく、具体的な数字で距離や獲得標高を伝えましょう。
こまめな休憩
走り出したらついつい夢中になってしまうのがサイクリストのサガ。脇目もふらずに突っ走るのは楽しいものですが、体力差のある女性とのライドでは、意識的に多く休憩を取るようにしましょう。
「その際に『今日のライドはどう?』とか『きつくない?』などと、体調を気遣ってくれると嬉しいですね」
また休憩時に、一緒にこの後のルートや残りの走行距離を確認すると良いかもしれません。
「でも最近、YOPIが速くなってるんですよね」
と、苦笑いしながら教えてくれるTOMIさん。それもそのはず、めざましい成長を見せるYOPIさんは、先日ヒルクライム大会で入賞するなど、確実に”強く”なっています。
「ちょうど良い目標が前を走っているので、頑張っちゃうんですよね」
エスコートしていると思っていたら、いつの間にかエスコートされていた!?ということも起こりうるサイクルデート。ライドを重ねていくごとに変化する関係性も嬉しいものです。
風よけになってくれる
一般的には、風よけになってくれると助かるものですが、初心者にとっては逆効果の可能性も。
「最初はこわくて車間を詰められなかったので、風よけの恩恵を受けられなくて。むしろ相手のペースに引っ張られて、無理をして走ってしまうことも多々……」
相手の練度に合わせて、背中で引くか、後ろから見守るか見極める必要がありそうです。トレーニングを重ねていくにつれて、風よけのありがたさが分かってきたというYOPIさん。
「ちゃんと車間を詰められるようになって、『こんなにも違うんだ!』と感動しました!」
風の抵抗がないだけかなり体力を温存できるのはご存じの通り。率先して前を引いてあげましょう。やましい心で後ろに付かないように!
※なお後方を走るライダーは、「ちどり走行」と呼ばれる、
パンク修理など、機材面をサポートしてくれる
どこで何が起こるか分からないのも自転車というスポーツ。脚力や走行技術とは別に「機材への詳しさ」という要素も必要です。特にパンク修理や、チェーントラブルなど日常茶飯で発生するアクシデントに、サッと冷静に対応できるとなかなかかっこいいですね。ここで男性サイドのTOMIさんから女性サイドへアドバイス。
「基本的な修理は実際に自分でできなくても、ある程度手順を理解してくれているとありがたいです。二人でサポートし合いながらアクシデントを乗り越えましょう」
ハンドサインで情報共有
ブレーキや右左折、落下物など時々の状況をリアルタイムに伝えるハンドサインは、走行中の重要なコミュニケーションツールです。初めて一緒に走る女性とは、必ずサインの確認をしておきましょう。丁寧にサインを送ってくれるTOMIさんの背中を見て、素直に「ありがたい!」と思ったYOPIさんでしたが、当時はまだ超ビギナーだったため、片手を離すのがこわかったそうです。
「私は声かけをすることで、後方にサインを伝えるようにしていました」
サインや声がけ、二人にぴったりの情報共有で安全にライドを楽しみましょう。
ハンガーノックになったときの飴ちゃん
「お腹が空いたとき飴ちゃんはありがたかった!」
と、声を大にして言うYOPIさん。ハンガーノックになりかけたとき、一緒に走っていた仲間のひとりが、フロントバッグからスッと飴を差し出したのだそうです。
「とても地味なことですが、背中のポケットではなくてバッグから取り出してくださったのも良かったな。体温で溶けたりしていなかったし」
補給食を持つのはもちろんですが、スッと差し出せるちょっとした甘味を懐に忍ばせておく。何気ない心がけですが、好感度アップのきっかけになるかも?
落車したときに処置、バイクの状態を確認してくれる
不慮のアクシデントで落車してしまうことも。そのときに咄嗟によぎるのが「私はいいから自転車は大丈夫!?」ということ。けれどまずは落ち着いて自身の体に注意を向けましょう。
「転んでしまった本人はかなり動揺しているので、冷静に落ち着いて対応してもらえるのが一番助かります。加えて私は自分の体よりも自転車の心配をしてしまうのですが、まず必要なのは正確な状況判断ですよね(YOPIさん)」
自身のコンディションは? 自転車は? 持続走行可能か、それともエスケープする必要があるのか? 落車や事故は、より冷静な判断が必要な場面です。男女問わず、サイクリストの誰もが落ち着いて対応できるように心がけたいものです。
万が一に備えた自転車保険を知っている
いくら注意していても、一般公道を走る自転車は事故に遭う確率が0にはなりません。そんな不安を少しでも和らげるためにサイクリスト向けの保険に加入しておけば安心です。
自転車保険選びでチェックしておきたいポイントは3つ。
①個人賠償責任補償がいくらついているか
スピードの出るロードバイクの場合、万が一加害事故を起こしてしまったときの賠償額は高額になりがちなので、1億円以上は備えておきたいと
②自身のケガの補償もしっかり備えよう
ロードバイクでのケガは、通院期間が長くなったりする場合があります。そんな時にも対応した補償があるものがベスト。
③自転車本体のトラブル時に役立つことも
道路を走っていれば、パンクやチェーントラブル等と無縁というわけにはいきません。トラブル発生時に自転車を搬送してもらえる自転車ロードサービスがついている保険も。いざというときに心強い切り札のひとつにもなりそうです。