猪野学 ネオ坂バカ奮”登”記 第15回

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猪野 第15回

乗鞍直前。インターバルのレスト時は橋の下の日陰に避難。2022それぞれの夏!!

2022年が終わろうとしている。WHOのチョビ髭おじさんもコロナの終息が見えたと発言し。人類は本来の生活を取り戻そうとしている。自転車を取り巻く世界も同じだ。たくさんのレースやイベントに参加する事ができた。

そして今年はピークス・コーチング・グループの中田尚志氏にコーチングを依頼し、初めて本格的なトレーニングに取り組んだ。

今回は、今年やってきたトレーニングを振り返ってみようと思う。

 

中田コーチの鬼メニュー

猪野 第15回

冬の間はとにかくお尻を意識して20分走。来年こそは大臀筋を駆使したい。

中田コーチのトレーニングはキツいメニューは週に2日だけだ。
だがその2日がかなりの内容なのだ。

とにかく持久系のトレーニング量が多く、その量は今までの2倍くらいだ。
そして最後には3分走やタバタ式インターバルといった、鬼の高強度フルモガキが待っている。

このトレーニングで大事なのは最後まで完遂する事らしい。
時に4時間近くなるローラーでのトレーニングをタレないようにうまくエネルギー配分する。

最初のうちは、最後の高強度まで脚や心肺が持たず完遂できなかった。
すると「前半抑えましょ!」と指導が入る。

とにかく前半は抑えて最後の最後でオールアウト!!
この配分が実に難しいのだ。

そんなトレーニングを2月頃まで積み重ねた。
3月に入るとコーチから送られてくるメールがおかしくなってきた。

スマホをどんなにスクロールしても次々と羅列されるトレーニングメニュー!
スクロールするたびに血の気が引いていく……。無限スクロールトレーニング地獄だ!

しかし、やるしかない!やらなきゃ強くならない!簡単だ……とても簡単な話だ!

こういう時は私の専売特許! とにかく心に鍵を掛けて淡々と粛々とペダルを回す。
そう!「無」になる作戦だ!
私はこの作戦で、エベレスティングやタイ合宿などの数々の過酷な挑戦を見事にクリアしてきた。

しかし中田コーチのトレーニングには通用しなかった。無限スクロール地獄を終えた頃には私は本当に「無」になってしまったのだ。

ベランダで灰となり…晩飯を作る気力すら無くなった。寒い中、ベランダで4時間もローラーをするものではないのだ。

これはマズい! という事で私はここにきて初めてローラーを卒業し、外での練習に切り替えた。

ローラー台を降りて見えた景色

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春にローラーを卒業した卒業生。

 

改めて言う事でもないが、実走ほどスキルが上がるものはない。そして何より楽しい!
無限スクロール地獄も「楽しさ」が入る事で何とか完遂できるようになった。

7月に入った頃だろうか?私は確実に強くなったと実感できるほどに仕上がった。

私は例年この時期からパワーが落ち出す。
ピークが7月だったのだ。
しかし今年はパワーが落ちる事はない。

恐らく昨年末しっかりOFFをとったからだ。
年末はガッツリ休み、年明けから徐々に自転車に乗り出した。
中田コーチ曰く「人間一年に出せるエネルギーは限られている」と……
芝居もそうだが、私は何でもやり過ぎてしまう傾向にある。

しかし今年は見事に「やり過ぎ」を封印していたのだ。

 

乗鞍を振り返える

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7月に乗鞍試走。1時間20分そこそことまぁまぁの手応え。

 

そしていよいよ大一番の乗鞍がやってくるわけだが……、この頃から難しくなってくるのが暑さとの闘いだ。

熱ダレを起こしてはトレーニングにならないし。何よりせっかく積み上げたコンディションを落としてしまっては台無しだ。

中田コーチも「パワーが出ないと思ったらすぐにトレーニングを中断し引き返してください!」と暑さに関してはとてもシビアだ。

1℃でも涼しい夕方に走るようになるべく心掛ける。お陰でコンディションを崩す事なく乗鞍当日を迎える事が出来た。

万全だ。万全過ぎて何だか怖い。
体は仕上がったが……今まで感じた事のない妙なメンタル状態に陥る。
そしてそのメンタルを解消できないまま、私は乗鞍のスタートを切ってしまい惨敗してしまうのである。

一体何が起こっていたのだろうか?
それはまた……年が明けたら語らせていただこうと思う。

とにかく私は例年に比べて、どこか晴れやかに年の瀬を迎えている。

今年の夏……何度も通った河川敷から見た夕陽の何と美しかった事か。いくつになっても青春は味わえるのかも知れない。

努力は必ず報われる……どんな形であれ。

皆様 良いお年をお迎えくださいませ。

猪野 学 公式Twitter