個人でも利用可能なコンパクト風洞試験施設『富士エアロパフォーマンスセンター』がオープン!
目次
“風洞の民主化”を目指して
株式会社日本風洞試験が運営するコンパクト風洞試験施設、『富士エアロパフォーマンスセンター』がオープンし開所式が行われた。
同センターはコンパクト風洞試験システム「Aero Optim(エアロオプティム)」を用いた風洞試験センターであり、『風洞の民衆化』をコンセプトにした手軽に利用できる風洞試験センターを目指す。
開所式にはセンターの所在地として選ばれた静岡県沼津市の頼重秀一市長をはじめ、日本風洞製作所と協同で本施設を立ち上げた株式会社ニシヤマの西山正晃社長など、多くの関係者が出席。
元日本チャンプ愛三工業レーシングチームの草場啓吾選手によるデモストレーションも披露された。
従来の風洞試験は予算面など様々な部分でハードルが高く大手企業やトップアスリート向けのイメージであったが、同センターの完成により一般ユーザーも手軽に手を出せるようになることが期待される。
同センターを皮切りに将来的には世界進出も目指し、全世界の人が風洞試験を手軽に受けられる環境構築を目指すとのことだ。
すでにUCIワールドチームやウエアブランドの開発など海外からの問い合わせもあり、アスタナ カザクスタンの選手は実際にテストを行ったという。
(※装置を海外に運搬してのテスト)
親会社に当たる株式会社日本風洞製作所設立は社長のローン・ジョシュア氏が大学在学中の2016年。設立のきっかけは当時自転車通学だったローン氏の“朝が弱い、少しでも長く寝たい”という想いからだという。
いかに大学まで早く通うか。卒業をかけ『1限にでる』という目的を達成させるために空気抵抗の軽減について学び、5kmの道のりを25分かけていた入学当初から最速7分まで短縮できたそうだ。
正式オープンは2023年3月中旬を目指しており、HPや予約システムなどの準備も順次行われるとのこと。
自転車の試験の他、車やドローンの試験も行える。
ヘルメットやフレームなど単体のテストも可能だ。
現時点ではUCI規格適合のクイックリリースまたは12mmスルーアクスルのロードバイク及びTTバイクのみに対応するが、将来的にはトラックバイクへの対応や例えばハンドルを曲げることができるなど、『より実走に近い環境』を目指した進化を続ける予定だという。
真似できない設計
部屋の片隅程度のスペースで測定が可能なコンパクト風洞試験システムAero Optim。
自転車用には縦に3つファンが重ねられ、最大時速54km相当の風まで送ることができるそうだ。
丸いファンから排出される吹き出し口は四角になっているほか、計算され尽くした角度のフィンなどの設置により隙間のない完璧な風を送ることができるという。
空気の流れを見るプロだからこそできる技だ。
移動も可能な他、設置や測定なども従来のテストより遥かに手軽さを増しており、簡易的であれば1ポジション30秒ほどで測定できるためテンポよく空力のいい姿勢を見つけることができる。
ヘルメットやサイクルコンピュータの角度一つでも数字が大きく変わるというテスト。
トップ選手でも受けることが容易でなかった風洞試験をシリアスサイクリストやトライアスリートはもちろん全てのサイクリストの身近になったことはうれしい限りだ。
もしかしたら日々の買い物に自転車を使う主婦が効率のいいネギやゴボウの運び方を求め、テストを受ける時代もくるかもしれない。
株式会社日本風洞試験
富士エアロパフォーマンスセンター
〒410-0872
静岡県沼津市小諏訪938-1
TEL:055-943-5437
自転車 個人利用4万円/h~、法人7万円/h~
自動車・ドローン 個人利用7万円/h~、法人7万円/h~
※オプション除く。消費税別