日本人初! 新城幸也がさいたまクリテリウムメインレース優勝!
目次
ラスト1周を逃げ切り、優勝を手にした新城が両手を上げてフィニッシュ
第7回ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムが、さいたま新都心の特設コースにて行われた。さいたまクリテリウムのメインイベント、エキシビジョンマッチであるクリテリウムは、3.5kmのコースを17周する59.5kmで行われ、ツール・ド・フランスジャパンライダーとして単騎参戦した新城幸也が終盤の混戦を制して優勝。ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム初の日本人勝者となった。
山岳賞は他を寄せ付けない安定感でバルデが獲得
スタート直後、山岳賞ジャージのマイヨ・アボア・ルージュを着用するロメン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)や、マッティオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)9名の逃げが形成された。途中一人減らして8名で進行したこの逃げは、山岳ポイントとスプリントポイントを順調に通過していく。この結果、マイヨ・アボア・ルージュ着用者としてふさわしいことをバルデが証明するように、すべての山岳ポイント周回を先頭通過した。
レースが大きく動いたのは、13周目。逃げをメイン集団が捕まえたところから、カウンターで5名の逃げが形成された。その中には新城幸也(ツール・ド・フランスジャパンライダー/バーレーンメリダ)も含まれていた。さらに15周目にはメイン集団からマイヨ・ジョーヌのイガン・ベルナル(チームイネオス)、プリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・ヴィスマ)、ロメン・バルデがジャンプアップ。超豪華な逃げメンバーが形成され最終局面へ。
新城がラスト1周を逃げ切って優勝
ラスト2周。先頭集団からヤコブ・フルグサン(アスタナプロチーム)と新城幸也が抜け出しに成功して先行する。そのまま、さいたま新都心駅の下を抜けるアンダーパスを通過して、ラスト1周に入ろうかというタイミングで新城幸也が後ろを振り返り、さらに加速! 単騎で先行した。後ろからはマイヨ・ジョーヌのベルナルとマイヨ・ロホをまとったログリッチェが追走。フルグサンをパスすると新城への追撃を始めた。どよめく沿道の観客に後押しされたままラスト1周、3.5kmを踏み倒す新城。見事追撃の手から逃れて、さいたまクリテリウム日本人初の優勝者となった。
新城「歴史に残る勝利を誇りに思う。まだドキドキしている」
第7回にして初めて優勝することができたのはとてもうれしい。また日本での勝利自体2016年以来のこと。全日本も2位でしたし。そして、日本人初の優勝者として将来語り継がれる。これはとても幸せなこと。またログリッチェ、ベルナルという偉大なチャンピオンの前でフィニッシュできたことを光栄に思う。(35歳ですが若いライダーにメッセージはある?と聞かれて)一緒に走った若いライダーがたくさんいます。レースの後に今日のことについて話し合いたいと思っています。
Q.レースを終えて
まだドキドキしている。大声援のなかを1周逃げ切った。応援の勢いのままゴールまで駆け抜けた。7回目にして日本人初優勝は誇りに思う。とてもうれしい。
Q.アリーナを通るコースの印象は?
3年前と通り方が逆。走ったことあるがアリーナ特有の雰囲気。めったにない経験なのでいい経験だった。中に入ったときは気持ちよかった。
Q.最終局面はどんな考え、気持ちだったのか?
今年は逃げがなかなか捕まらなかった。ラスト5周で動ける人は決まってくるので、あの逃げには乗るようにした。
ラスト1周に入るときにフルグサンが(アンダーパスの)上りを引いてくれてた。上り切って、後ろを振り返ったときに二人(ログリッチェとベルナル)が出てきているのが見えた。先頭交代のタイミングで前に出たのでそのまま感覚的に一人で出ていった。単騎はちょっと後悔するつらい展開だったけれど勝つことができた。
フィニッシュ後には、やっと着いたという安堵があった。いろいろな人の顔が浮かんだ。今シーズン、ケガしているときなどいろいろな大変な時を支えてくれた人たちの顔が。
最後1周の応援はすごかった。これが五輪だったらどれほどうれしいかというのを想像した。ファンの力をあらためて感じた。さいたまクリテリウムは、数少ない日本のファンの前で走る経験なので、いいシミュレーションができた。
Q.来年の目標は?
その時になってみないとわからない。でも日本で走るレースは特別だ。すべてのレース頑張りたいと思っている。
Q.35歳、ベテランといわれる年齢になったが将来は?
今年のブエルタはケガする前のコンディションまで戻すことができた。年齢が35歳ではあるけれど、パフォーマンスは保てている。トレーナーからも、もう少しパフォーマンスを上げられると言われている。
自分が強くなったのは、先輩の強い日本人が教えてくれたから。日本語でそれらの経験値を伝えてくれたから。勉強できた。プレイングマネージャー的に、走りながら教えられたらいいなと思っている。レースに選手が200人いるなかでの位置取りや、コース取りが経験値で大切になってくる。そういうものを伝えていきたい。
ベルナル「初めての日本を楽しむことができた。またこの雰囲気に戻ってきたい」
Q.今日のレースを終えて、その印象は?
ありがとう。よかったです。とてもレースを楽しめました。集まってくれたファンの雰囲気はよかったですし、表彰台にも上がれて満足。
Q.さいたま市の雰囲気は?
日本は初めて。ロードレースのファンがこんなにいるなんて驚きだった。この雰囲気をもう一度味わうためにまた戻ってきたいと思う。
Q.来年の目標は?
シーズンを終えたばかりなので、来年の目標をいま語ることはむずかしい。でもジロ、ツール、ブエルタのどれかで今年のツール・ド・フランスのような活躍ができれば。
Q.コロンビア人選手の強さの秘訣は?
最近になって大きな変化があったわけではない。コロンビア連盟はいつもサポートしてくれている。コロンビア2.1というレースがある。アメリカ大陸レベルで活躍している選手のレベルを上げるのに役立っている。アンディーナというコロンビアの有名企業がロードレースを後押ししてくれている。ロードレースが有名になっていているからですね。
Q.来シーズンまでどう過ごすか?
疲労が蓄積している。今年、完全に休息できたのは3~4週間だった。体力を維持してシーズン終わりまで過ごすことができたので、まずは3週間ほどは自転車に乗らないで完全休養。そして、来シーズンに備えたいと思っている。
Q.日本のファンの印象は?
自分たちがレーサーとして食べていけるのはファンあってこそ。さいたまに来られたのもファンのおかげ。ファンもレースの一部だ。選手からサインをもらったり、写真を撮るために何時間も待ってくれている。だからその希望にできるだけ応えたいと思っている。子供がいる場合は特に。子供のころの自分にとっても、マイヨ・ジョーヌというのはすごい存在だった。日本の子供たちにも同じ経験をしてもらいたい。
ログリッチェ「ハードな展開だったけれど、表彰台に乗ることができてよかった」
Q.今日のレースはどう?
ハードなレースだった。疲れたよ。でも幸せだね、表彰台に乗ることができて。
Q.レースコースの印象
いいね。驚きだった。2回目の日本で、素晴らしいファンがたくさんいる。17周回全体に観客が盛り上げてくれた。
Q.2020年シーズン
いいサイクリストになりたいね。
Q.さいたまクリテリウムへの参加が決まったのはいつ? その理由は?
10日くらい前でしょうか。行かないかと聞かれた。来日したのはずいぶん前(スキージャンプ競技の選手だったころ)だったので、これはスペシャルな機会だと思い参加を決めた。
Q.長いシーズンで好調を維持する方法は?
オフシーズンのトレーニングをハードにすること。その準備が結果につながると思っている。
Q.ツールはもちろん重要なレースだと思いますが、来年は東京五輪もあります。どちらを狙おうかすでに計画していますか?
もちろん勝ちたいと思っている。来シーズンを、どんなプログラムにするかはコーチやGMと決めたいと思っている。いずれにせよ最善を尽くすよ。
クリテリウムメインレースリザルト
1位 新城幸也(ツールドフランスジャパンライダー)
2位 エガン・ベルナル(チームイネオス) +0秒
3位 プリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・ヴィスマ) +0秒