チャプター2新作「カハ」 グラベルレースを視野に入れたバイク
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アオのデビューから3年、グラベルバイクは次のステージへ
ニュージーランドの新興ブランドであるチャプター2が、2023年2月27日に情報を初公開したのが、パフォーマンスグラベルバイクの「カハ」だ。生産終了となるアオの後継モデルにあたり、欧米で大人気のグラベルレースをターゲットとした設計となっている。
チャプター2の代表であるマイク・プライド氏のオンラインプレゼンテーションが開催されたので、その模様および試乗インプレッションをお届けしよう。
ジオメトリーはオールロードからグラベルレーシングへ
チャプター2がアドベンチャーにフォーカスしたグラベルバイクの「アオ」を発表したのは、2019年11月に開催されたサイクルモードでのこと。あれから3年、グラベルシーンは大きく変化し、特に欧米ではフラットな国土を生かしたハイスピードなグラベルベースが盛んに開催され、エントリーが狭き門になるほどの人気を集めているという。
そうした流れを受け、チャプター2がアオの後継として投入する「カハ」は、各種マウント類などの実用的なディテールはそのままに、「どんな地形でもハイスピードに負けないバランスと、安定性を追求したグラベルレーシングジオメトリーを採用している」と、チャプター2代表のマイク・プライド氏は説明する。
アオで好評だったリヤセンターの調整機構(±7.5mm)は省略され、5サイズ全てでリヤセンターは415mmに設定。チェーンステーはドライブ側だけでなく左右ともドロップした形状となり、700Cでのタイヤクリアランスはアオの42mmから47mmへと拡幅されている。
付け加えると、BBドロップは全サイズで74mmから70mmに上がり、フロントセンターは試乗したSサイズの場合で21mmも伸長している。そして、他社製のサスペンションフォークを装着した際のハンドリングの変化が少ない点も、このジオメトリーの狙いだという。
素材についてはアオと同様に東レのカーボンを100%使用。ヘッドチューブエリアの剛性を6%、BBエリアの剛性を4%高めながら、フレームとフォークの合計で151gもの軽量化を達成している。フレームセットに付属するステム一体型のマナグラベルバーは、ケーブル類のフル内装化を実現。上ハンの断面形状が真円になっているのが特徴で、これはクリップオンタイプのTTバーの装着を想定したものだ。
マイク・プライド氏によると、「グラベルを速く走れるということは、それだけ効率良く遠くまで移動できることになり、それはレースだけでなくアドベンチャーライドにおいてもメリットが大きい」という。
発表会の会場になったのは神奈川県小田原にあるサイクリングジプシーカフェ。普段からサイクリストフレンドリーなカフェとしてにぎわっている。おいしいコーヒーとランチが用意された。
インプレ「フラットなダートでの速さとコントロール性に感心」
コンベンショナルなタイプのシートステーを採用する一方で、チェーンステーは左右ともドロップドとするなど、スタイリングからしてアオとは異なるカハ。ダウンチューブにストレージを新設したり、ステム一体型のフレアハンドルを同時に開発してケーブル類のフル内装化を果たすなど、昨今のトレンドを余すところなく盛り込んでいる。
グラベルバイクは、試乗車のタイヤ銘柄やその太さ、チューブレスレディか否かでロードバイク以上に印象が激変するが、少なくとも今回のカハに装着されていたヴィットリア・テレーノドライ35Cの場合、カハのフラットダートでの快走感は見事だった。
具体的には、速度を上げても直進安定性が失われず、だからこそ安心してペダルを踏み続けられる。また、路面からの衝撃をフレームがうまくいなしてくれるので、意外なほど失速しにくいのだ。そして、カーボン自体の特性によるものなのか、細かい振動の吸収性が高く、特に舗装路での乗り心地は上質さすら感じられるのだ。
マナグラベルバーについては、下ハンのフレア角が個人的には絶妙に感じられ、特に未舗装路の下りでバイクをコントロールしやすかった。また、ステム一体型でありながら、TTバーをはじめアクセサリー類が装着しやすい点も大きなメリットだろう。
欧米のようなハイスピードのグラベルレースが根付いていない日本において、そこにフォーカスしたカハは持て余すのでは? と思う方も少なくないだろう。だが、それはツールに出ない人にハイエンドのロードバイクは必要ないと言っているようなもの。特にグラベルにおけるカハの所作は素直で楽しく、長く付き合うほど拡張性の高さに感心するはず。
すでにロードバイクに乗っていて、グラベルバイクが気になるけれど速さには妥協したくないという人にオススメな1台だ。
●チェーンステー
アオで好評だったフリップチップによるリヤセンターの調整機構(
●ストレージ
トレックやスペシャライズドなど大手ブランドが積極的に採用しているダウンチューブの収納システム。これをチャプター2もカハで初採用した。カバーの裏面には電動コンポ用のバッテリーが取り付けられるように設計。
●ガード
アオにはなかった装備の一つが、飛び石からダウンチューブを保護するラバー製のプロテクターだ。BBの真下には機械式コンポ用のワイヤーリードが収められている。なお、BBの規格はアオのBSAからインターナルT47へ。
●マウント
各種ケージやバッグ、フェンダーなどの取り付けを容易にするリッチなアタッチメントポイント。他社製のサスペンションフォークに交換する場合、1-1/8インチのステアラーであれば対応可能とのこと。
●ハンドル
フレームセットに付属するマナグラベルバーは、フレアタイプのステム一体型カーボンハンドルであり、カハと組み合わせることでケーブル類のフル内装を実現。市販のクリップオンタイプのTTバーが装着可能だ。マナグラベルバー:単体価格7万2600円
フレームセット価格:52万2500円(マナグラベルバー付)