スポーツ自転車用ヘルメットの正しいかぶり方
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自転車に乗るときに必須のヘルメット。特にロードバイクやクロスバイクなどのスポーツ自転車に乗るときには、正しいかぶり方をすることが安全のためには重要です。しかし、スポーツ自転車用ヘルメットの仕組みを理解しておらず、正しくかぶれていない人もちらほら見られます。そこで、スポーツ自転車用ヘルメットの正しいかぶり方について特集します。
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ポイントは自分に合ったヘルメットを選び適切な手順でかぶって調整機構を使いこなすこと
前回の「ロードバイク用ビンディングペダル&シューズ 使い方の基本」の記事に引き続き、THE BASEの赤坂愛里彩さんに教えてもらう。
「スポーツ自転車の初心者だけでなく、ある程度経験を積んだ人でも、間違ったヘルメットのかぶり方をしている人は意外とちらほらと見受けられます。“とりあえずかぶっておけばいいや”という意識では、せっかくヘルメットをかぶっていても、万一の転倒のときに頭部を守ってくれません。
ヘルメットを正しくかぶるために重要なポイントは2つあります。
1つ目は、そもそも自分に合ったヘルメットを選ぶことです。2つ目は、スポーツ自転車用ヘルメットに備わっている調整機構の仕組みを正しく使い、適切な手順でかぶることです。このとき、いくつかのチェック項目があります」。
なるほど。早速教えてもらおう。
自分の頭に合うヘルメットの選び方
「まずは自分の頭のサイズに合うものを選ぶことです。締め付けダイヤルを全開にした状態でかぶってみたときに、頭の横やてっぺん、前側など、どこかが当たって痛くなっていないかを確認してください。そうなっていなければ、まずは第一関門クリアです」。
「次に、ほとんどのスポーツ自転車用ヘルメットに搭載されている締め付けダイヤルを締めていって、限界まで締め切ってもまだヘルメットがぶかぶかな状態になっていないかを確認します。
もしこのときまだ十分に余裕があるようなら、もうワンサイズ小さなヘルメットを試してみましょう。
頭が痛くならない程度に、きちんと頭部全体が締め付けられている状態になったら第二関門はクリアです」。
「最後に、その状態で頭を上下左右に軽く振ってみて、ヘルメットがずれたり落ちたりしなければ、そのヘルメットがあなたの頭に合っている、ということになります」。
アジアンフィットとグローバルフィット
なお、スポーツ自転車用ヘルメットには主に2種類の形状があり、一つはアジアンフィット、もう一つはグローバルフィットと呼ばれるものです。
アジアンフィットは、日本人の頭部形状に合いやすいものです。横側に広く、後頭部が絶壁に近い形に合うように作られています。日本人の多くは、これを選べばフィットする可能性が高いです。
もう一方のグローバルフィットですが、横幅が狭めで後頭部が張り出したヨーロッパ人型の頭部に合うように作られています。日本人の中にも時折これに近い形状の人がいますので、そういう人はこちらを選ぶとフィットしやすいです」。
スポーツ自転車専門店で試着して買うようにしよう
「ヘルメットにはいろいろな商品があり、それぞれ形状も異なっているし、自分に合っているかどうかはやはり実際に試着してみないと分かりません。ですので、必ず購入するときはスポーツ自転車専門店で試着してみてください。スタッフが相談に乗ってくれることも多いです」。
ヘルメットをかぶる手順
自分に合うヘルメットが見つかったとして、次にそれを正しくかぶるための手順を教えてもらう。
「まず、調整ダイヤルを最大まで緩めます。その状態でヘルメットをかぶります。かぶったら、調整ダイヤルを締め付けていきます。
このとき、ヘルメットの前側が眉毛のすぐ上くらいまでくるのが正解です。
なお、前髪はしっかりとヘルメットの中に入れるようにした方が良いです。汗が流れやすくなったり、ヘルメットのずれにつながったり、目にかかって視界を妨げる可能性があるからです。しかし、絶対ではありません。正しくヘルメットが装着されて適切に締め付けられてずれることがない状態になっていて、視界を妨げていないならば、前髪は出していても良いとは思います」。
「痛くなるまで締め付けるのはNGですが、ある程度しっかりと締まっているなと感じられたら、次に頭を前後左右に振ってみて、ヘルメットがずれないか確認してください。痛くならず、ヘルメットがずれないのがちょうど良い締め付けです」。
「続いてストラップのバックルを閉めます。このとき、耳の付近のストラップの位置を確認してください。2本のストラップが交差する部分が、耳たぶの下に来るのが適切な位置です。鏡を見ながら引っ張ったりして調整してみてください」。
「次に、あごの部分のストラップの長さを確認します。手の指が1本くらい入る程度の隙間が空いている状態が適切です。隙間がなさすぎると苦しくなります。この部分は、一度ヘルメットを脱いでから調整し、また被ってみて鏡を見てチェック、を繰り返して調整すると良いです。
スポーツ自転車専門店ならスタッフに調整を依頼できることも多いので、相談してみるのも手です」。
よくやりがちな悪いかぶり方
「ヘルメットをしっかりと深くかぶっておらず、額が大きく露出しているのはよくある悪い例です。これでは転倒したときに頭部を守ってくれません。また、調整ダイヤルが全然締まっておらず、簡単にヘルメットがずれてしまうのもNGです。
そして、ストラップ交差部分が耳たぶより上になっているのもNGです。
さらに、バックルがあるあごの部分のストラップに、まったく余裕がないのもNGです。自転車に乗って前傾姿勢をとったとき、呼吸が苦しくなってしまいます」。
「一方で、このあごの部分のストラップに手のひらが入るほど隙間が空いているのもNGです。転倒した衝撃でヘルメットが大きくずれ、頭部を打ってしまう危険性が高くなります」。
上下の調節機構も重要
「ない場合もありますが、多くのヘルメットには頭を締め付ける部分を上下に調節できる機構が搭載されています。ここの調整もより良いフィット感を得るためには重要です」。
「ポイントは、後頭部を締め付ける部分があまりにも首に近いところまで落ちて痛くなっていないか、です。最初は最も上の部分に上げた状態でかぶってみて、あとは少しずつ下へずらして一番フィーリングが良い場所を探してみてください」。
この記事を参考にみなさんも今一度ヘルメットが正しくかぶれているか、確認してみよう。