マウンテンバイクのフロントアップ&リヤアップ【MTBはじめよう! Vol.17】

目次

マウンテンバイクのフロントアップとリヤアップ

段差を越えたりするときに役立つ基本テクニックで、MTB(マウンテンバイク)に乗るうえでぜひとも身につけたいフロントアップとリヤアップのやり方について特集しよう。

 

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身につければよりライディングの幅が広がる

今回もプロMTBライダーでインストラクターの板垣奏男さんに教えてもらう。

板垣奏男さん

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride  YouTube:kanao itagaki

 

「最近のMTBは高性能化が進んでいて、楽に障害物を越えられるようになってはきているのですが、とはいえ木の根や丸太、岩などの障害物や段差を越えるとき、フロントアップとリヤアップができると非常に便利です。ライディングの幅が大きく広がり、よりMTBのライディングを楽しめるようになります」と板垣さん。

「特にフロントアップについては、何も予備知識がないとフロントアップという文字面に惑わされて腕力に頼った前輪の引き上げ方をしがちなので、そうならないように注意して練習してほしいです」。

詳しくを教えてもらおう。

 

フロントアップのやり方

MTBのフロントアップのやり方

フロントアップ

 

「フロントアップは、基本中の基本であるニュートラルポジションとレディポジションの応用技です。レディポジションをとった後、後ろへ体を移動させていく動作です。

ニュートラルポジションからレディポジションをとり、一瞬“ため”を作ります。その後で素早くハンドルを前方へ送り出します。すると結果的に重心が後ろへ移動するとともに前輪が上ります。

これができるようになると、前輪を上げたまま後輪だけでペダリングせずに進んでいく“マニュアル”という、みなさんが憧れる技にもつなげることができます」。

 

よるありがちな良くないやり方

良くないフロントアップのやり方

腕の力でハンドルを持ち上げようとするのはNG

 

「フロントアップという言葉につられて、腕の力だけでハンドルを上に持ち上げて前輪を上げようとする人が多いですが、これだと前輪があまり高く上がらないばかりか上がっている時間が短いうえに、腕力に頼るので非常に疲れます。こうならないように注意しましょう」。

 

フロントアップの練習方法

「最初は上で説明した動作をスムーズにつなげてやるのが難しいので、一つ一つの動作を分解して練習するのがおすすめです。

“ニュートラル→レディ→ハンドルを前へ送り出す”、この動きを全部滑らかにつなげられなくていいので、一つ一つ確実にやっていってみてください。途中で流れが止まる瞬間があっても構いません。

慣れてきたら、ニュートラル→レディ→ハンドルを斜め前へ送り出す”をつなげて行ってみてください。すると、少しだけ前輪が浮いてくるはずです。

あとは練習あるのみで、この流れを素早く・スムーズにつなげて行えるようにしていきます。すると、前輪をだんだんと高く上げられるようになってきます」。

フロントアップ練習時の注意点

前輪が上がりすぎたらリヤブレーキをかけよう

 

「ここで一つ注意点があります。リヤブレーキのレバーには常に指をかけておきましょう。もし前輪が意図せず上がりすぎてしまったとき、リヤブレーキをかければストンと前輪が落ちます。これをしないと後ろへひっくり返ってしまい、危険です。危ない! と思ったらすぐにリヤブレーキをかけましょう」。

 

リヤアップのやり方

MTBのリヤアップのやり方

リヤアップ

 

「リヤアップができると、例えば上りで大きな段差や障害物があったとき、前輪がそこをうまく超えられても後輪が引っかかってつんのめってしまう、という事態を防げます。また、これができるとペダルを上へ引き上げる動作ができるようになるので、これを応用することでライディングがさらに上手になります。

やり方は、方向が違うだけでフロントアップと同じです。ニュートラルポジションからレディポジションに移行して一瞬“ため”を作り、そのあと、ペダルを水平にしたとき後ろ側に来る足の足裏をペダルに引っかけるようにしながら(イメージとして)斜め45度前方へ重心をずらします。すると自然と後輪が跳ね上がります」。

MTBリヤアップのよくある失敗例

リヤアップのよくある失敗例。足がペダルから離れてしまう

 

「よくありがちなのは、ペダルを引き上げることができずに足がペダルから離れてしまうことです。そのあとすねをペダルに打ち付けてかなり痛いけがをしがちなので、注意です。不安ならサッカー用などでも構いませんのですね当てをすると良いでしょう。MTB用のシンガードならもちろんなお良いです」。

 

リヤアップの練習方法

リヤアップで足をペダルに引っかける動作の練習方法

リヤアップで足をペダルに引っかける動作の練習方法

 

「リヤアップで難しいのは、足裏をペダルに引っかける動作です。これをいきなり乗りながらやると足がペダルから外れてけがをする可能性があるので、まずは乗らずに自転車を地面の上に置いた状態で足裏をペダルに引っかける練習だけをします」。

はじめに自転車の、ご自身の“MTBに乗るうえでの利き足”(常に前方に出ている足)がある側に立ちます。私の場合は右足なので、自転車の右側(変速機がある側)へ立ちます。次に、常に後ろ側に来ている足をペダルに乗せます。私の場合は左足です。

そのうえで、ブレーキレバーは引かないようにしつつハンドルに手をかけ、足でペダルを後ろへ送り出すようにして自転車の後輪を持ち上げます。足裏を後ろに向けてペダルに引っかけて上げていくイメージです。こうやって、ペダルを足裏で引っかける感覚を、できるようになるまで練習してください。意外と難しいです。

これができるようになったら、フロントアップと同じように、ニュートラル→レディで“ため”を作る→前方斜め45度へ伸び上がるようにする(このときに足裏をペダルに引っかける)という一連の動作を一つずつ丁寧に分解して練習してください。

だんだんとスムーズにつなげてできるようにし、慣れてきたら素早く行うと、自然と後輪が上がるようになります」。

リヤアップのよくありがちな悪い例

リヤアップのよくありがちな悪い例。体が前側に行きすぎてニュートラルポジションが崩れている

 

「もう一つよくありがちな悪い例は、体が前方へ行きすぎてしまうことです。斜め45°前方と言っても、あくまでニュートラルポジションが崩れない範囲での前方です。ここを誤ってもやはり後輪はうまく上がってくれません」。

みなさんも練習して、ぜひ習得しよう。