ツール・ド・フランス2023 でヴィンゲゴーが総合連覇

  • photo A.S.O. /Pauline BALLET/ © BORA - hansgrohe / ©SprintCycling

7月1日にスペイン北部のバスク州で開幕した第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月23日にサン・カンタン・アン・イヴリヌからパリのシャンゼリゼ大通りまでの115.5kmで、最終区間の第21ステージを競って閉幕し、デンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が総合連覇を果たした。
 

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■デンマークのヴィンゲゴーが7分以上の大差を付けて総合を連覇した (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
総合2位は7分29秒遅れでスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル、総合3位は10分56秒遅れで英国のアダム・イェーツで、パリの表彰台の両端にアラブ首長国連邦登録のUAEチーム・エミレーツの選手が上がった。総合1位と2位のタイム差が7分以上の大差なったのは、2014年にヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)が優勝した時以来だった。
 

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■ツール・ド・フランス2023の表彰台。左から総合2位のポガチャル、総合優勝したヴィンゲゴー、総合3位のアダム・イェーツ (©SprintCycling)

 
26歳のヴィンゲゴーは、ツールで2回総合優勝した14人目の選手になった。13人目はもちろん、2020年と2021年に総合優勝しポガチャルだ。今回のように2人の選手の総合連覇が続いたのは、ツール史上初めての出来事だった。

さらに、総合優勝と総合2位の選手が2年連続で同じだったのは、1978年と1979年に総合優勝したベルナール・イノー(フランス)と2位になったヨープ・ズートメルク(オランダ)以来だった。2021年にポガチャルが総合優勝した時はヴィンゲゴーが総合2位で、同じ2人の選手が3年連続で総合1位と2位になったのは史上初だった。
 

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■3年連続で優勝を争ったポガチャルとヴィンゲゴー (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)


シャンゼリゼ区間はムースが優勝

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■ベルギーのメーウスがシャンゼリゼ区間を制し、区間初優勝した (photo : © BORA – hansgrohe / Sprintcycling)

 
最終ステージは例年通り集団ゴールスプリントになり、ベルギーのヨルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ/25)が、ポイント賞のマイヨ・ベールを着たヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)を打ち負かし、ツール初参加でグランツール初優勝となる区間初優勝を果たした。区間3位はオランダのディラン・フルーネウェーヘン(チームジェイコ・アルウラー)だった。

シャンゼリゼ大通りのサーキットコースを8周する最終ステージは、終盤雨が降り始めたため、主催者と審判団は残り1周のフィニッシュライン通過でタイムを計測する決定を下した。そのため区間優勝は競われたが、ポイント賞のポイントとボーナスタイムは付与されなかった。残り1周で総合優勝が確定したマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーとチームメイトたちは、残り3kmで集団を離脱し、大きく遅れてゴールした。
 

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■ツール初参加でシャンゼリゼ区間を制したメーウス (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
ベルギーのフィリプセンはシャンゼリゼ区間連覇を逃したが、今大会は区間4勝し、25歳でポイント賞を初受賞した。山岳賞はイタリアのジューリオ・チッコーネ(リドル・トレック/28)が初受賞した。イタリア人がツールで山岳王になったのは、2009年に受賞したフランコ・ペリツォッティが、後日ドーピングで剥奪になったため、1992年のクラウディオ・キャプッチ以来、実に31年ぶりだった。

24歳のポガチャルは、4年連続で新人賞を受賞した。2020年に初参加して以来、彼が表彰台で新人賞のマイヨ・ブランを獲得したのは全84ステージ中75ステージだった。来年彼は26歳になるため、ツールでマイヨ・ブランを着るのは今日が最後になった。マイヨ・ブランを着たポガチャルは、シャンゼリゼのサーキットで逃げて最終日のレースを大いに盛り上げてくれた。
 

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■今大会で区間4勝したベルギーのフィリプセンがポイント賞を受賞した (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

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■チッコーネが31年ぶりでイタリアにツールの山岳賞をもたらした (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

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■ポガチャルが4年連続で新人賞を受賞した (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

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■オランダのユンボ・ヴィスマがチーム成績で1位になった (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 

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■ツール・ド・フランス2023の4賞ジャージが勢ぞろい (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)


スーパー敢闘賞はベルギーのカンペナールツが受賞

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■ベルギーのカンペナールツがスーパー敢闘賞を受賞した (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
今年のツールで最も敢闘した選手に与えられるスーパー敢闘賞は、ベルギーのヴィクトール・カンペナールツ(ロット・デスティニー)が受賞した。Twitterで行われた一般投票では、今シーズンで引退すると表明し、これが最後のツールだった地元フランスのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)が1位になり、カンペナールツは2位だった。しかし、5人のフランス人が務める敢闘賞の審判員は、カンペナールツを選んだ。

ベルギーのロット・デスティニーは今回区間優勝できなかったが、カンペナールツがパリの表彰台に上がる栄誉を得られた。一方、ピノーは最後のツールでパリの表彰台には上がれなかったが、前日に敢闘賞を獲得していたため、最終日は4賞ジャージの選手たちと一緒にスタート地点に並ぶ事ができた。
 

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■前日に敢闘賞を獲得したピノーが4賞ジャージの選手たちと一緒に最終日のスタートラインに並んだ (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
■総合連覇を果たしたヴィンゲゴーのコメント
「誇らしいし、幸せに感じている。我々がこのレースで勝つのは2回目だ。本当に素晴らしい。ここで観客の皆、デンマークの皆と一緒で、本当に素晴らしい。チームと家族だけでなく、デンマークの人々全員に感謝している。彼らはボクをとてもサポートしてくれた。長い旅路だったが、あっという間だった。毎日がとてもハードなレースで、ボクとポガチャルの間でのとても素晴らしい闘いだった。日々楽しんだよ。来年も戻ってきて、3勝目が可能か確かめたい。あるいは、少なくともトライしたい。それがボクの計画だ」

■2年連続総合2位に終わったポガチャルのコメント
「もちろん最初の望みは勝つ事だったにも関わらず、このツールで起きた事の全てを考えると満足できる。ボクにとってもチームにとっても素晴らしいツールだった。パリの表彰台に立てて、もう一度マイヨ・プランを取れてとても嬉しい。全てに感謝している。そしてさよなら最愛のマイヨ・ブラン…もうボクは若くはないからね!」
 

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(photo : A.S.O. /Pauline BALLET)


■第21ステージ結果

[7月23日/サン・カンタン・アン・イヴリヌ~パリ・シャンゼリゼ/115.5km]
1. J. MEEUS (BORA – HANSGROHE / BEL) 02h 56′ 13”
2. J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
3. D. GROENEWEGEN (TEAM JAYCO ALULA / NED)
4. M. PEDERSEN (LIDL – TREK / DEN)
5. C. BOL (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / NED)
6. B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – CIRCUS – WANTY / ERI)
7. B. COQUARD (COFIDIS / FRA)
8. S. WÆRENSKJOLD (UNO-X PRO CYCLING TEAM / NOR)
9. C. STRONG (ISRAEL – PREMIER TECH / NZL)
10. L. MOZZATO (TEAM ARKEA – SAMSIC / ITA)

第110回ツール・ド・フランス 個人総合最終成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 82h 05′ 42”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 07′ 29”
3. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 10′ 56”
4. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 12′ 23”
5. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 13′ 17”
6. P. BILBAO LOPEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 13′ 27”
7. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 14′ 44”
8. F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT) + 16′ 09”
9. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 23′ 08”
10. G. MARTIN (COFIDIS / FRA) + 26′ 30”

[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : G. CICCONE (LIDL – TREK / ITA)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■スーパー敢闘賞 : V. CAMPENAERTS (LOTTO DSTNY / BEL)
 


来年は南仏ニースで閉幕

2024年はパリ五輪が開催される影響で、ツール・ド・フランスは史上初めて最終目的地がパリではなく、南仏のニースになる。しかも最終日はモナコからスタートする個人タイムトライアルが行われる予定だ。ツールが個人タイムトライアルで閉幕するのは、マイヨ・ジョーヌを着た地元フランスのローラン・フィニョンが、米国のグレッグ・レモンにたった8秒差で逆転負けした1989年以来になる。
 

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■来年はパリ五輪の影響で最終日はニースで個人タイムトライアルが行われる (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 

ツール・ド・フランス公式サイト

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